「旅行に行ってまで料理をしたい?」
最初は多くの人がそう感じるかもしれない。
わたしたち夫婦はイタリアン、特にパスタ料理が大好きで、結婚前から「そのうち一緒にイタリア旅行に行こう」と話していたのは、もう2~3年前だろうか。
南イタリアとフィレンツェに行くことに決めて、宿を探し始め、フィレンツェで見つけた滞在型アパートメント。
価格は抑えられるのにスイートルーム並みの広さがあるキレイな部屋で立地もいい。
それに加えて、魅力にうつったのは、近くにスーパーがあり、中央市場からもほど近い場所で料理をしやすい環境だったこと。
フィレンツェでの宿選びの決め手はキッチン付きアパートメントで料理ができることだった。
「はたして、旅行に行ってまで料理をしたいと思うのか?」という疑問に、夫からの言葉。
「現地の素材をつかって料理をつくれば味を覚えて腕も磨けるし、そのほうが普段の自分たちらしい。それに毎日外食は飽きるはず。」
たしかに、普段、週に何回外食をしているのか考えると、我が家はほとんどが自炊で(シェフは夫、わたしは助手...笑)たまにお気に入りのお店に食べに行くという暮らしを送っている。
作るのはめんどうだし、けっして料理が好きなわけじゃないのだけれど、わたしたちは、お互い「ゆっくり美味しいものが食べたい」という共通の価値観をもっている。
これは家族がいる人、独身、収入、住む場所によっても食環境は人それぞれだと思う。
きっと、この記事を読んでいるあなたは、週のうちの外食は半分以下〜しないときもあるのではないだろうか。
“旅先で少し手間でも、美味しいものをマイペースに楽しみたい”
そんな願望をもっていたら、今回体験した暮らすように楽しむアパート滞在をおすすめしたいと思う。
自炊の豊かさは外食では得られない選択肢の豊富さと「安心できる環境」にある
当初、海外旅行先で料理をするという発想はわたし自身にはなかった。
異国の地で料理をしない人が多いのは、まず「時間」と「ご当地料理」を重視したいのが一番の理由だと思う。
せっかくの機会なのだから、その目的は優先すべきだ。
でも、問題はからだが常にそれを求めているわけではないってことなのである。
日本は、他国と比べて非常に食のジャンルが幅広く、味付けも繊細で奥深い。
海外で1週間以上の滞在になってくると、異国でのバリエーションが似ている料理に胃も疲れてくるし、日中は外で動きまわっていることが多いことからメンタル疲れもしてくる。
フィレンツェ滞在で、アパートを利用することにしてみて気づいたことがある。
それは、旅先で「家でも食べれる環境」を手に入れた状態は、思いのほか人のこころを安心させてくれること。
ベットメイクや掃除が入らないので、荷物をまとめておく必要もない。
常に自分たちのペースで部屋での時間を過ごせる。
「今日は疲れたから家でまったり、ゆっくり食べたい」「お店で頼んだ料理が口に合わなかったら、オーダーは追加はやめた。
生ハムやチーズを買って帰って家で美味しく飲みなおそう!」「スーパーで現地の食材を買って家で美味しいパスタを作ってみよう」
少し手間でも、好みに合った美味しい料理で楽しい時間を過ごす。
そんな日々を満たす自宅ごはんの時間があるからこそ、翌日の外食も新鮮な気持ちで楽しめるのだろう。
料理は常に食べる人とのコミュニケーションで成り立っている。まずは自分のニーズに応えよう。
今回の旅で夕食の事前予約していた一つのレストランに行くと、「予約は翌日に入っているよ」といわれた。
予約は、宿泊手配を仲介している現地在住スタッフが行なってくれたものだったが、こちらは予約OKの回答をもらっていたので、おそらく現地側で予約を入れたときにミスがあったのだと思われる。
まあ、立地も中心部から離れていて、ぜんぜん混んでいないし普通に入れたのだが、そのお店はモダンな雰囲気でカウンターのみ。
メニューは黒板に簡単に書いてはいるけれど、基本的にシェフが英語でそれぞれの料理を一方的に説明するスタイルを貫いている。
クリーム系のラビオリとトリュフパスタをそれぞれ2品頼んで、食べてみた時、確かに丁寧に美味しく調理されてはいるとも思ったのと同時に、わたしたちはすぐに「ここは違う」と感じた。
口に合わないと言ってしまえば、簡単なのかもしれないけれど、味付け、素材の合わせ方、それらは食べる側の気持ちを考えてつくられたものというよりも、作る側の作品というエゴが出てしまっているものだった。
美しく整っているけれど、わたしたちにとっては、がんばって食べ続けなければいけないような味。
ふと周りを見ると、イタリア人と思われるお客さんがまたシェフからメニューの説明を受けていた。
その様子は、やはり会話が一方通行。
お客さんは、説明される内容を聞き、その構図のとおりにメニューをチョイスするだけの空気感が漂っていて、これは言葉の問題以前だと察する。
明らかに、もっと訪れた人たちが楽しく味わえるような店づくりをした方がいい。
そんな空気を作ってしまっているお店側の独りよがりに見えてしまうこだわりは、料理と雰囲気とお店の空き具合を見れば一目瞭然な様子だった。
少し落ち込んだわたしたちは、満たされなかった外食時間を飲み込んで、パスタ2品とスイーツ1品でおわりに、家で自炊をして夕食の続きを楽しむことにした。
芸術作品と違い、料理にはその先に食べる人がいて、美味しく食べてもらわなければ完結しないもの。
料理には必ずニーズがあるので、一方の目線、エゴで料理をつくるものではない。
ひとりごはんのときでも「こんなものが食べたい」という自分の希望にあわせてつくってあげる会話をするところからがスタートしてみてほしい。
手間がかかるからこそ、やっぱり食べる相手を想った気持ちが届く美味しい料理になるようなメニューと環境を自分なりに考えるべきではないだろうか。
地元の素材でつくる料理。ちょっと失敗しても、やっぱり自分たちには家でつくるごはんが一番だった。
普段からキッチンに立つ夫は、とりわけイタリアンが得意で、宿泊したアパートが中央市場に近いこともあって、地元の素材や調味料で料理をつくってみることを楽しみにしていた。
近くのスーパーなどで材料を買い込み、作れそうな素材を集めたけれど、やっぱり日本とは違う。
調味料の探し方も難しく、イタリアのとうがらしは種も入った状態のものばかり。
うーん。と悩みながらも、それ以外のものはスーパーでは見つけられなかったので、使って作ってみることに。
(なんと切りづらいこと...)
カルボナーラの卵が固まってたのを学んで、そうならないようにチャレンジ。
日本とは比べものにならない辛さ...。
味は美味しいのに途中で辛くて食べれなくなったぺペロンチーノ。
美味しいのに残さなきゃいけないって、ショックなものだけれど、こればかりはしかたない。
海外で料理をしてみたからこそ身にしみた、家で食べる時間の心地よさ
今回の旅では、本場のナポリピッツァやペペロンチーノなど、美味しいお店との出会いもあったし、外食は刺激もあり、楽しいものだった。
▲本場のナポリピッツァ。マルゲリータとマリナーラはドリンク付きで一枚5ユーロという破格さ。
▲美味しかったペペロンチーノ。
2回食べに行ったら、塩味が濃くなっていたのが残念。
そんな塩味のブレもイタリア人ならでは?
美味しいと感じる自宅料理の食卓を囲んで、気をつかわずに食べられる時間は、外食と比べて内側じわじわと感じる幸福感を味わえるものだと思う。
外食の場合、お客さまのニーズを考えて臨機応変に調整するなど対応してくれるレストランもあれば、大分手を抜いていてお世辞でも美味しいと思えない料理を出されることもある。
先程のように求められているものよりも自分たちがやりたいこだわりを全面に出しすぎて「エゴが入った一方通行に見えてしまう料理」がメニュー出てくる場合もある。
でも、自分たちで美味しい味の記憶をたどり、家で新しい味にチャレンジしてつくった場合、失敗してもそれまでがんばった過程はムダにならないし、「こうやって今日はだめだったから、また次にトライしよう」と消化ができる。
ホテル滞在ではない、民泊でもない、現地のアパートメント暮らし。
ぜひ、少し滞在が長くなる旅先では、自由に暮らせるアパートメント滞在を視野に入れて、疲れているこころを満たす「自分たちらしいおうちごはんの時間」を取ってみてほしい。
地元の食材を使い、美味しい料理をマイペースに楽しむ時間を過ごすことで、これまでにない記憶に残る食の時間を体感できるはず。
ヨーロピアンタイプのホテルでもありえる話ですが、日本の建物で暮らしている発想にはないような、ヨーロッパの古い建物特有の音が響きやすいつくり(壁が薄いのか)になっている様子。
最上階なのに、人の足音が上から聴こえるように届くという不思議な現象が起きるので、実は下の階からの響きでも上の階の住人だと思われることも。
今回の物件は「スカーラ・グランデ」という中央駅から徒歩3分。
本当はこちら4名以上で泊まれる広さ。
日本で言うところの5階に位置し、残念ながらエレベーターはなし。
荷物運びは思った以上に大変なので、気になる方はエレベーター付き物件をおすすめします。
チェックインは日本人スタッフが対応、緊急連絡先も24時間体制で日本語可なので安心。
詳細は以下のアパートメント紹介サイトよりどうぞ。
あなたに合う暮らすように楽しむアパートが見つかりますように♪
La casa miaはイタリア語で「わたしの家」
市場やスーパーで買い物したり、バールで朝ごはんを食べたり、家にいるように、
ゆったりとくつろぐ。
「暮らすように楽しむ」旅。
竹内 亜希子 Akiko Takeuchi
-植物療法士(フィトセラピスト)
-女性の健康経営推進員
-健康経営エキスパートアドバイザー
幼少より10年間シンガポールで暮らす。
帰国後、会社員として働く中で余白時間を奪われる社会の渦に揉まれ、20代半ばに坐骨神経痛を一年患い、根本改善のためにストレスケアにフォーカス。食生活改善と植物療法を実践し、3ヶ月で完治。
植物療法士として、働く世代の女性の心身のセルフケア、ストレスやホルモンバランスの体の変化をコントロールできる体質づくりを指導。
オリジナルハーブティーブレンド 販売、カフェ等の店舗向けオリジナルハーブティー商品企画・提供、大切な人とのヘルシーな時間を追求するカルチャーメディア『Documentary Gift 』を運営。
現在は、ヘルスケア企業にて、健康保険組合や企業に向けた生活習慣改善プログラムの提供・運営や健康経営推進、中でも女性の健康づくりに注力。
働く女性にとっての「からだにいい生き方」や予防のための「セルフケア」を継続する暮らしのつくり方を伝えている。
趣味:日々の楽しみは、心打つライブと毎日調合するハーブティー、そして家族と食卓を囲う時間。