ほどよく下町の谷中銀座つきあたりの少し先にあるこじんまりとしたトラットリア。
このお店を知ったのは2016年12月。
NOBIは、2014年に千駄木にオープンした、オーナーシェフの吉川信行さん、奥さまの貴子さんが笑顔で迎えてくれるあたたかいお店。
シェフは、トスカーナやリグーリアなど北イタリアのレストランで修行を積み、帰国後にカジュアルな料理が作りたいと思い立ち、「それには下町的な場所が合うのでは」と考え、千駄木での出店を決めたそう。
「家族挙式後にみんなで会食ができる15名ほどの人数に合うレストランを探しているんです。なかなか良いところが見つからなくて...。」
2016年11月22日に入籍をしたわたしたちは、翌年の6月の結婚式にむけて、そんな悩みを抱えていた。
知人に相談したことをきっかけに、このお店を教えてもらったのが千駄木という場所とTRATTORIA NOBIさんとの出会いのはじまり。
実はフレンチのお店も教えてもらい、そこもとてもよかったのだけれど、なぜ結婚式となるとみんなフレンチのコース料理が多いのかが疑問だったこと。
カチャカチャとフォークとナイフをたくさん使いテーブルマナーに沿って食べるよりも、食べたいものを選んで大皿でみんなで分ける料理もいい。
そう思っていたし、なによりもわたしたち夫婦はイタリアンが大好きだった。
そこで、住まいは近くないけれど、わたしは一足先にランチに連れていってもらうことに。
パスタ好きの夫婦が満たされる味とは?手打ち生パスタのモチモチ感とプリっと感の両方が味わえる手作りのおいしさ
生パスタを出しているお店は、基本的にうどんのようにモチモチしている所が多い。
それが特徴なので当然だが、わたしたち夫婦、特に夫は乾麺にあるプリプリした触感のパスタが好きな方だった。
NOBIさんの自家製の生パスタは、モチモチさは殺さずに、わたしたちが好きな乾麺に求めるプリプリさも味わえるのだ。
パスタは生地から作り、タリアテッレなど比較的なじみのあるものから、一枚ずつ模様がスタンプされた円形の麺コルツェッティ、色付けした生地を重ねた3色パッパルデッレなど、目でも楽しめるユニークな麺を多く用意する。
妻「NOBIさんのパスタはたくさんあって迷うけど、どれも美味しいよね。」
夫「あのお店の美味しさは生パスタの質だと思う。デュラムセモリナのプリプリ感をちゃんと出している・・・」
妻「でゅ・・・・??も、もう1回。」
夫「小麦粉だよ。パスタに使う小麦粉、有名でしょ。
うどんも小麦粉はモチモチしてるけど、パスタに使う小麦粉はそれよりはプリっとしやすいのかなと。それでも本来小麦粉を殺しやすいから生パスタのお店はモチっとだけなりやすくて、プリっと感は出ないところが多い。
粉の質か、練り方か....NOBIさんでの違いがあるんだと思う。」
【自家製ベーコンと万願寺とうがらしのペペロンチーノ】
━━ はじめてNOBIさんを訪れたとき、ランチで食べたペペロンチーノ。ここのペペロンチーノは、ほかと違う燻製の自家製ベーコン入りがポイントでこれがものすごい旨味を引き出している。
妻「たしかに、これまで食べてきた生パスタとは違う。」
夫「あとは俺はラーメンでいうと北海道のほうが好きだから。」
妻「どういうこと?(笑)」
夫「北海道のちぢれ麺ってちょっと透明になってたりとか、ラーメンの中ではプリっとしてるの。」
妻「へぇ~食べたことない・・・(北海道に行ったことがない)。いいなぁ。
じゃあ今日のお昼もプリっとしてた?(夫、仕事で北海道に行っていた)」
夫「うん、プリっとしてた。粉の割合なのかはわからないけど麺の感じは北海道のデフォルトだと思う。空港で食べても同じだし。
北海道以外で食べてもああはならなくて、都内ではなかなか出会ってないんだよね。」
.....(ラーメン話で脱線しました)
妻「パスタは割合の違いがあるかわからないけど、きっと厳選した小麦粉を使って、こだわって手作りしている生パスタだからこそモチモチ感とプリプリ感も味わえるんだろうね。」
【エビとズッキーニのクロスターチ(甲殻類 )ソース】
━━ こちらは、ソースが絡みやすいように平打ち麺のタリアテッレが使われていいる。お皿にはエビの殻まで余すことなく使ったパウダーが散りばめられていてこれをつけて食べると風味が広がる絶品。
【魚介のイカ墨ソース】
━━ 濃厚で旨味が凝縮されたイカ墨ソースに絡むのは「貝殻」をの形をしたコンキリエ。
イカやホタテなど海の幸とガーリックの香りがたまらない。
ここで色々なパスタを食べて改めて好みの触感を知ったことで、生パスタ専門店でお気に入りのお店がこれまでなかったのはこういう理由かもしれないことに気づかされた。
こんなにたくさんのパスタの種類を置いていて味も絶品、リーズナブルな所はなかなかない。
千駄木が地元でなくても、時間をつくって通いたくなる本格イタリアンでもあり、アットホームでカジュアルでもある居心地のいい場所なのである。
シンプルな料理もオリジナリティとあたたかい心遣いが来る人のこころをつかむ
NOBIさんでは、毎日メニューが変わり、和とイタリアンの創作料理だったり、来てくれる人たちが飽きないような工夫とこだわりの料理が日々ずらりと並んでいる。
パスタの基本となる先程のペペロンチーノの自家製ベーコンもそうだが、オーソドックスなポテトサラダだって、この通り。
お店でシェフがスモークしたポテトにいぶりがっことナッツが混ぜてあり、香ばしいスモークの香りと、カリカリ食感が一緒に楽しめるパーフェクトなおつまみになっている。
お酒のお好きな方なら、絶対頼んでいただきたいのがこちらの燻製ポテトサラダ。
これまで人生で食べたポテトサラダでいちばん美味しかった感動の味で、登場したときの香りの舞い方がとてもすばらしいので一度頼むと毎回頼まずにはいられない。
このサラダを食べるたびに、いつもドレッシングの中身を想像しながら味わってしまう。
こういったシンプルでオーソドックスな料理にひとひねりの工夫とこだわり、売りのパスタもペペロンチーノに自家製の燻製ベーコンをアクセントにするなど、どの料理からもオリジナリティを感じるのだ。
ウエディングらしくなくても「これらのお気に入りのメニューを家族にも食べてもらいたい」と思い、ラインナップに入れてもらうことにした。
そして、当日、目の前に出てきたポテトサラダはいつも見ていた姿ではなく、蓋がついていて開けるとスモークがわぁっと舞って、子供も大人も、家族みんなが驚きの表情と笑顔。
...あれ?
なんと「カモと燻製ポテトサラダの瞬間スモーク」という料理に変わっていた。
いつもの料理にも、新しい発想で手をかけて工夫を重ねる努力が毎回食べる人のこころを掴むのだと思う。
土日のランチ時で混んでいて具も切らしているようなときでも、ほかの具で対応してくださったりと、「食べるだけでなく選ぶ楽しさも感じてほしい」という想いが伝わってくる心配り。
そんな想いが根底にあるからこそ、食べる側もワクワクしながら食事の時間を楽しめるのだ。
「家族挙式の会食会場にここを使いたいんです」と思った理由
普通は、 結婚式を決めるとき挙式会場選びから行うものだけれど、わたしたちはみんなで食を楽しむことを一番に考えているので、先に会食会場にしたい場所を探していた。
そんな折にご縁あって、相談をしてみると。
「精一杯やらせていただきます。メニューもいくらでも相談可能ですよ。」
というありがたい言葉。
もちろんウエディング用のレストランではないので、ウエディング仕様の装飾やコース料理があるわけではない。
でも、わたしたちがほしかったのは、ウエディングらしさよりも、家族といっしょにおいしい料理を囲んでゆっくり楽しい時間を過ごすことだった。
メニューに入れたい料理を決めるために何回かディナーへ伺う中、食へのこだわりが強いわたしたちに、親身に希望を聞いてくださるシェフ。
「自分たちのときは人に任せることで失敗してしまったから、ちゃんとこだわった方がいいと思います。」と、にっこり答えてくれた奥さま。
「ドレッシングがほんとうに美味しいので、ここのシンプルなサラダを入れたいこと」
「ウエディングに沿わなくても燻製のポテトサラダを家族にも食べてほしいこと」
「大皿でいいので美味しいパスタを数種類ほしいこと」
「ウエディングケーキも頼みたいけれど、家族が希望したらティラミスを出してもらいたいこと」
.....こんな細かな希望をメモをしながら、シェフはメインのお肉料理の種類やソースを迷っていたわたしたちに、家族・親戚の中に育ちざかりの小中学生がいることなどを考慮しつつ大人も楽しめるよう、バリエーションを考えてくれた。
最後に、気がかりだったウエディングケーキ。
通常のレストランなのでオーダーできるのか、持ち込みになるのか、と悩んでいたのだけれど、一瞬でシェフから「うちのがパティシエをやっていたので大丈夫ですよ」とのこと。
奥さまが8年間ホテルの厨房に務めたパティシエで、ここでのデザート作りを担当していることを知り、「あのティラミスをつくる方なら絶対美味しいケーキになる」と確信...。
実は、わたしたちはお互いティラミスが特段好きではないけれど、こちらのマスカルポーネとエスプレッソの濃厚風味がしつこくなく、とても美味しくて、毎回頼んでしまうデザートだった。
ウエディング用には、食べたかったチョコレートクリームのウエディングケーキとフルーツの組み合わせをオーダー。
とてもとても美味しかったケーキは、家族が撮ってくれた以外に写真はない。
代わりに味の記憶はしっかり残っている。
楽しい時間を過ごす人たちのいい顔から作られる空間
大切な友人や家族といっしょに行くほど幸福な時間を過ごせる場所
結婚式とは特殊なもので、夫婦が主催になって共同で協力して行うゆいいつの会だ。
きっと、わたしたち夫婦がこんな風に主役となって家族総出でここまで特別な食事会をやることはそうないだろう。
家族とこの場を過ごしたからこそわかったのは、このレストランは、大切な人と来るのが一番似合う場所だと思う。
もちろん、ひとりでふらっと立ち寄っても美味しい料理とお酒を楽しめるけれど、やっぱりここはどんなときも大切な友人や家族を安心して連れてこれる、お腹と心が質よく満たされるお店。
だからこそ、みんなが誰か大事な人たちといっしょに来ている笑顔を見る機会が多いのだろう。
一緒に美味しいパスタを楽しみたい夫婦、家族のお祝いをしたいとき、なんの日でもないけれど大切な人と記憶に残る時間を過ごしたいと思っている方はぜひ一度、足を運んでみてほしい。
━━ あとがき(Special thanks)
自分たちにとって、あまりに大切な時間だったために、簡単にはなかなか筆が進まず1年経ってしまってからの記事となりました。
改めて特別な時間を刻めたことをNOBIさんに心から感謝です。
そして、こんなに素敵なお店を紹介してくださった、イタリアンの料理人経験もある、カフェを専門にサポートするCafe SK(カフェサク)の瀧澤陽介さんに、この場を借りて。
ほんとうにありがとうございました。
▼ルトロンさんの「お出かけ動画マガジン」にNOBIさんの料理動画が載っていたので、ぜひ!かなりそそります。
「自家製生パスタに夢中!千駄木の本格イタリアン「TRATTORIA NOBI」
【TRATTORIA NOBI(トラットリアノビ】
東京メトロ千代田線
千駄木駅 2番出口 徒歩3分
JR山手線日暮里駅 北改札 西口 徒歩6分
千駄木駅から303m
東京都文京区千駄木3-42-8
ベルメゾン千駄木 101
tel: 03-5834-7654
営業時間
【 月〜金】 18:00〜23:00(L.O22:00)
【土、日、祝】11:30〜14:30(L.O14:00)
18:00〜23:00(L.O22:00)
※ランチは土日祝日のみ営業しております。
日曜営業
竹内 亜希子 Akiko Takeuchi
-植物療法士(フィトセラピスト)
-女性の健康経営推進員
-健康経営エキスパートアドバイザー
幼少より10年間シンガポールで暮らす。
帰国後、会社員として働く中で余白時間を奪われる社会の渦に揉まれ、20代半ばに坐骨神経痛を一年患い、根本改善のためにストレスケアにフォーカス。食生活改善と植物療法を実践し、3ヶ月で完治。
植物療法士として、働く世代の女性の心身のセルフケア、ストレスやホルモンバランスの体の変化をコントロールできる体質づくりを指導。
オリジナルハーブティーブレンド 販売、カフェ等の店舗向けオリジナルハーブティー商品企画・提供、大切な人とのヘルシーな時間を追求するカルチャーメディア『Documentary Gift 』を運営。
現在は、ヘルスケア企業にて、健康保険組合や企業に向けた生活習慣改善プログラムの提供・運営や健康経営推進、中でも女性の健康づくりに注力。
働く女性にとっての「からだにいい生き方」や予防のための「セルフケア」を継続する暮らしのつくり方を伝えている。
趣味:日々の楽しみは、心打つライブと毎日調合するハーブティー、そして家族と食卓を囲う時間。