「料理はべつに好きじゃない。ただ美味しいものを食べたいだけ。」
家庭によって、料理を誰が作るかはさまざまだと思うのだけれど、我が家では毎日の料理をリードしているのは夫。
そんなときによく彼がそう言う。
たしかに、つきあっていた頃から、スープカレーを極めてみたり、パラパラチャーハンが上手かったり、一般の男性と比べて自炊をしてきたんだなと感じてはいた。
そのときは、ただ美味しいものを食べる、その欲求のために料理をしてるんだって思っていたし、わたし自身も「せっかく食べるなら美味しいものが食べたい!」という欲求は強いので気持ちはわかる。
でも、いっしょに暮らしてみたら、その解釈は少し違っていることがわかるようになった。
それは、自分の欲求だけでなく、相手への想いに引っぱられていく先に「今一番美味しいものをいっしょに食べたい」という、ふたりで食卓を囲う時間をイメージしているのが伝わってきたから。
自分と相手の欲求の両方に向き合うからこそ、求めていた以上の食卓が生まれる。
あなたは誰のために料理をしていますか?
育ちざかりの高校生の息子へ?
母の日に感謝を込めて両親へ?
彼へ健康的な献立を?
わたしたちの場合も、外食で別々の食事となるときは、夫はコンビニやお惣菜、作っても簡単な料理をチョイスすることがよくあります。
もちろん、1人分の量と2人分の量ではできる料理も変わってくるけれど、一生懸命レシピを探して心をこめて作るのは、自分のためではなく大切な人のためということが多いもの。
相手といっしょに美味しいものを食べる楽しい時間を積み重ねていった先に、「今日も美味しいものを食べたい(作りたい)」という毎日の欲求がどんどん生まれていくから。
その欲求が燃料となって、ある日は中華料理や寿司職人、またある日は居酒屋店長やイタリアンシェフなど、さまざまな店が家で開店し料理長(夫)が腕をふるってくれるようになり.....わたしはめきめきと成長していく夫に圧倒されるばかり。
結果、「今日が一番美味しい」とふたりで思える場面に何度も出会うことになる。
家族の食べたいものを優先的につくる優しいお母さん像などとは違い....。
ふたりにとって一番良い形を踏まえた状態で相手に食べたいものや気分を確認し、自分の欲求にもあわせて、ふたりの美味しい落としどころにもっていく、ということを毎回行っているんです。
「なんでもいい」って、欲求をてきとうに扱おうものなら怒られるし、本当にそれが食べたいのかについて何度も確認が入ることもある...(笑)
日本人は、おもてなし精神の文化で育ってきたこともあって、恋人につくるときも、友人を招いてつくるときも、子供につくるときも色んな場面で「相手のために」行動することが多いように感じてしまう。
でも、自分の欲求を後回しにして、相手に合わせて尽くす料理をつくり続けて疲れてしまう状態は幸せとはいえないのではないでしょうか。
だから考えてみてほしい。
ほんとうにあなたはそれでいいの?
最初は、こんなにこだわるの?と戸惑っていた自分。
お互いの欲求に向きあうことを諦めないからこそ、いつも求めていた以上の美味しい食卓ができあがる光景を何度も目の当たりにして、「欲求を抑えるべきではない」本当に大切な意味を体感することになりました。
今夜は、食卓という空間はお互いのものだという意識をもって、ふたりの欲求を見つめてみてください。
すると、いつも以上にどんどん楽しい食事時間が生まれていくはずだから。
参考にしたい男子ごはんのふたりでいっしょにつくって食べる過程。
今は、みんながレシピをインターネットで探すのが普通の時代で、我が家も夫はインターネットでたくさんのレシピをざーーーっと見回って、あとは自己流で好みの味に調整していくのですが、ゆいいつ一緒によく見ている料理番組があります。
それは、テレビ東京の「男子ごはん」
国分太一&料理人の栗原心平さんが日曜お昼にやっているほのぼのおしゃべりな料理番組。
食べるって、つくるって楽しい。気張らずあくまで自然体で。そんな番組コンセプトで、スタジオ収録だけでなく、韓国や台湾などの海外ロケもあったり、ふたりのゆるい時間が流れている。
料理人の栗原心平さんのお母さんは同じく料理人の栗原はるみさん。
夫のお義母さんも「栗原はるみさんのレシピはよく参考にする」と言っていたし、わたしたち夫婦も似ているので味の好みが好きな番組というのが前提にあって参考にさせてもらっているのですが、わたしはもう一つこの番組の好きなところがあります。
番組では基本、心平ちゃんがリードしていきますが、太一くんが言葉のちょっかいを出して関係ない話をしたり、心平ちゃんが苦手なみじん切りを太一くんに渡したり....。
そして最後は「美味しい〜〜!!」と言ってふたりで食べる。
これをいつも見ていると、「美味しいごはんを大切な人と食べる時間って、やっぱりいいよね」って、思えてくるんです。
わたしたちも、仕事から帰って間に合うときは、いっしょにスーパーに行き、作り方を話しておしゃべりしながら好みも確認していると、自分ひとりの範囲をこえて、美味しいものを作ろうとします。
失敗するときも大成功のときもあるけれど、常に更新されていく「家の味」が出来上がる。
一人の味よりも、あのときいっしょに作ったあの料理をまた食べたい!の記憶のほうが、より一層、毎日が楽しくなるのではないでしょうか。
焼きサバ丼は今では我が家の定番メニュー。料理長は夫、魚や助手は妻が担当。
男子ごはんのレシピはいろいろ試していますが、その中でも何度かつくっているのはこちらの焼き鯖丼。
お魚丼はヘルシーに満足感はたっぷり満たしてくれるので、男女ともにうれしい一品。
焼いてほぐした鯖をひじき等といっしょに合わせた混ぜごはんにして、焼いた鯖を上にのせたレシピ。
レシピを載せてくださっている方がいるので、こちらから。
シソとみょうがを上にトッピングしたら、ポン酢をかけていただきます。
ある時は白髪ねぎをのせていただきます。
翌日はお弁当にも!
味付けなどトータルプロデュースは夫の役回りで、妻は助手の立場で手伝うといった状態になっていることが多いわたしたち。
独学でどんどん腕をあげていく夫と以前に料理教室で習った魚のおろし方などの知識がある妻、いいところを活かしながら協力してつくっていますが、現場(自宅のキッチン)で場数をこなしている夫にはかなわない。
「もっと教えてもらおう!」と思いながらも甘えてしまう自分と、「もっとがんばってほしいなぁ」なんて思っている夫と、求めあうところはありつつも...。
ふたりで作業は分担しあって、一緒に作って食べる楽しいごはんタイムを過ごすことをお互いに大切にしています。
食事にこだわるなら、ふたりに合った飲みものも楽しもう。和食を美味しく食べるなら緑茶味のハーブティーを。
料理にはこだわっていても、食事中のノンアルコールの飲みものって、お酒ほどは楽しんで飲むことって少ないですよね。
お水を飲みたいとき、ウーロン茶を飲みたいときがあっても、料理のように毎回味をあわせていく感覚って基本ないのではないでしょうか。
そこで頭に浮かんだのは、毎日調合しているハーブティー。
今まで体調に合わせたものをよく作っていたけれど、食事を楽しむために料理の味に合わせて飲みたいと思うにように。
たとえば、今回みたいな和食のサバ丼に合わせたいハーブは緑茶の味に似て、クセもなく飲みやすいネトルを中心にしたハーブティーをブレンドすることが多いです。
写真:ネトル・・・浄血・造血作用や鉄分などのミネラル、ビタミンCをバランスよく含み、青のりのような香りがするハーブ。
ネトルは単品でも、ほかの好みのハーブを混ぜても美味しくいただけますが、わたしは「今日の調子どう?」なんて、からだのことも聞いたり会話しながら、そのときの気分で味を決めていきます。
ちょっと脂っこいおかずが並んでいる日だったら、すっきり系のペパーミントやベルベーヌ(レモンバーベナ)を足してみたり。料理と同じように調整してみる。
こんな風に、わたしはわたしの形で食卓に参加すると、お茶というサポート役の立場でふたりの食卓に色を足すことができます。
食卓を囲う時間は、ひとりでは作れません。
ふたりで料理をつくり食べる時間へ楽しんで参加する意識をもってみると、いつもよりも会話を長く楽しみながら、ゆっくり食事ができ、毎日の食卓の景色が変わっていくはずです。
ぜひ、お互いにとって、心から幸せだと思える時間を手作りしていきましょう。
今回ご紹介したネトルを中心にブレンドしたおすすめのハーブティー詳細はこちらからどうぞ。
竹内 亜希子 Akiko Takeuchi
-植物療法士(フィトセラピスト)
-女性の健康経営推進員
-健康経営エキスパートアドバイザー
幼少より10年間シンガポールで暮らす。
帰国後、会社員として働く中で余白時間を奪われる社会の渦に揉まれ、20代半ばに坐骨神経痛を一年患い、根本改善のためにストレスケアにフォーカス。食生活改善と植物療法を実践し、3ヶ月で完治。
植物療法士として、働く世代の女性の心身のセルフケア、ストレスやホルモンバランスの体の変化をコントロールできる体質づくりを指導。
オリジナルハーブティーブレンド 販売、カフェ等の店舗向けオリジナルハーブティー商品企画・提供、大切な人とのヘルシーな時間を追求するカルチャーメディア『Documentary Gift 』を運営。
現在は、ヘルスケア企業にて、健康保険組合や企業に向けた生活習慣改善プログラムの提供・運営や健康経営推進、中でも女性の健康づくりに注力。
働く女性にとっての「からだにいい生き方」や予防のための「セルフケア」を継続する暮らしのつくり方を伝えている。
趣味:日々の楽しみは、心打つライブと毎日調合するハーブティー、そして家族と食卓を囲う時間。