「デトックスがしたい」
急にそう感じたのは10年前のある1日のこと。
20代前半から25歳くらいまでの自分は虚弱体質だった。
特別、身体が弱い方だったとかそんなことはないのだが、高校生の頃から重い生理痛に悩み、朝は決まって低血圧。
健康診断ではいつも血圧が100を切る。
ちょくちょく体調を崩していた。
身体のどこかが故障すると、次々と体調がダウンしていき、内科、皮膚科、眼科...と病院を順に周るときもあった。
季節の変わり目には、のど鼻風邪をひきやすく、身体のかゆみが出るアレルギーは薬を続けても一過性のもので良くなることはなかった。
さらに、これまで問題がなかった肌が荒れたり頭皮がむける謎の症状が起き始めたこともあって、さすがに肌や髪の毛の悩みを感じてこなかったために大きなショックを受けた。
自分の中で何が起きているのかわからない状況にどんどん気持ちが沈んでいく。
それでも、わたしはあの日、猛烈に感じた「デトックスがしたい」という少しのきっかけで、健康な身体をキープできるようになっている。
その1日から、今に至るまでの10年、何が変わったのか考えてみた。
身体の詰まりをなくすには、自分に嘘をつく毎日をやめること
わたしは、幼い頃から親の仕事の関係でシンガポールと日本を行き来していた。
多民族国家で暮らしてきた生活から本帰国後、良くも悪くも同調する社会の本音を言いずらい空気にうもれていき、てきとうに流す術を身につけて生きていくようになってしまった。
性格ははっきりしていても根っこの本音は言いづらいという状態で生きていた若かりし頃の自分...。
社会人になった後はさらにその傾向が加速し、何か納得できない出来事があって「なんで?」と思ってもやり過ごすようになり、それでも、その飲み込んだ違和感を消化できずにいた。
周りの女友達も仕事、恋人、家のグチが多くなっていき、そこに同調して合わせる自分にも嫌気がさす日々...。
本音に嘘をつくたびに、心がくもる感覚を感じていた。
そのときの対処法といえば、体調を崩せば早めに病院へ行き薬をもらい、大好きな音楽をイヤホンで聴いて、雑音をシャットアウトする。ライブやクラブイベントで、そんな生活を忘れたいと朝方まで楽しむ。
大好きなファッションは、がまんせず洋服を次々と買う。
そうやって、楽しんでいるようで、日々の飲み込んできた出来事に見て見ぬふりをしてきたある日のなんてことない1日。
突然、自分を取り巻く環境がすべて気持ち悪く感じたのだ。
なんで、自分の部屋にはモノが溢れかえっていて、洋服もたくさんあるのに、「いつも足りない」と思うんだろう。
なんで、世の中にはファストファッションが増え、渋谷にも新宿にもありとあらゆる場所に同じ店が溢れているのだろう。
あぁ、なんだか無性に気持ち悪い...。
自分が、身体の中から不要なもので埋めつくされて
個性が消されていく感覚が走って、「もう自分に嘘をつくのはやめよう。これ以上は無理だ。」と猛烈に思ったのだった。
太らないようにしていたダイエットも、外食では自由にしていたけれど、家ではごはんを抜いたり、美味しいと思わないカロリーが低いものを選んで食べたり、今思えばうわべだけの楽しい食生活という感じだった。
身体や思考の詰まりは、本当は欲していない量の食べ物やモノもチョイスしてためてきてしまっていると整理がつかなくなり、循環できなくなる。
それが、満タンになって限界を感じたということなのかもしれない。
「デトックスをしたいなぁ。」と感じるのは、必ずメンタル的に内側にためこんでいる不要なものがあって、本当に欲しているものに手が届いていない状態。
そんなときは、まずは日常の中で「何か見ないようにフタをしてやり過ごしていないかな?」とちょっと立ち止まって、その嘘をできるところから一つずつ捨ててみる勇気をもつ必要があると思う。
「大事なものを選ぶ」意識が身につくとデトックスが習慣になる
こうして、周囲の取り巻く環境が息苦しくなって不要なものを捨てる決心をした自分。
「早くどうにかしなければ」と感じ、そうしないと飲み込まれてしまうような気さえしていた。
とはいえ、「捨てる」という行為は意外とむずかしいことにすぐに気がつく。
身体のデトックスはボロボロになるまで読み込んだSHIGETA美容バイブルを参考に内側からクリーニングしてくれる酵素を取り入れる生活をスタート。
部屋の片づけが苦手なわたしは、今やアメリカで大成功している
こんまりメソッドの片づけ本の1と2を読みこんで順番に片づけをしていったが、むずかしい点もあった。
それは、いよいよ人間関係も整理していかなければならないというとき。
モノを捨てる作業がつらくなり、ため込んでしまっていた携帯の電話帳リストを見ながら手が止まってしまう。
デトックスは今までためこんできたものと向き合う「自分を見る」行為。
体のデトックスはある程度スムーズにいっても、ほかの人も関わることとなると一気に難易度が上がる。
そのときに心が助けられたのは、こんまりさんの本にあった「大切なものだけを選ぶ」ということだった。
大切な人との時間だけを優先する。
実は、このとき意識するようにしていたのは、「これは嫌だ」ではなく「これがいい」に言い換えていくこと。
クセづいてしまっていた自分のマイナスにとらえる思考をプラスに変換することが必要だったからだ。
これまで支えてもらったものも、新しく必要な大切な人間関係を選ぶためのポジティブなものだと思えばこの先の生き方が楽になる。
その意識でモノ選びや人選びを心がけていくと、同時に今必要ないものが整理され、自分に合わないものを選びたくなくなる。
その「当たり前の基準」となるバーが自然と上がっていくので、気づくとデトックスの意識が習慣になっていった。
すぐに始めた酵素とハーブティーを取り入れる朝時間ルール
マインドを磨きながら、身体のデトックスで最初にスタートしたのは、火を通していない生野菜とフルーツの「ローフード」を取り入れるセルフケアだ。
この生野菜とフルーツにたくさん含まれている消化を助ける酵素が、デトックスをするために欠かせない役割を担っている。
それは、わたしたちの身体は1日の中で「排泄」「消化」「吸収」のサイクルで動いていて、酵素はこれらを行うために不可欠なものだからだ。
実は食事を消化するには大きなエネルギーが必要で、炭水化物は8時間以上かかる。
たんぱく質を摂ることで酵素を自分の体でつくり出せるのだけれど、個人差もあり、年齢とともに体内で酵素を作り出せる能力は低下していくので、放っておくと1日の身体のリズムの働きがとどこおりがちになってしまう。
そのため、食物から酵素を摂ることで、消化のための酵素を作っていたエネルギーを減らすことができ、身体の回復に必要な力をまわすことができる。
酵素は熱に弱く、48度の熱で破壊されるため、生のままで摂ることがポイント。
特に、一番意識をするべきなのは、朝の時間。
わたしたちの身体は、朝の4時~12時が排泄の時間、12時~20時が消化の時間、20時~4時が吸収の時間のサイクルで動いているため、朝はなるべく重たい朝食を食べないようにして、わたしはビタミン豊富で保水力もあり排泄の負担をかけないフルーツとシンプルにお水を飲むようにしている。
そうやって、自分のために身体の中が循環しやすい状態をつくっていった後の20代後半。
自分だけでなく、大切な人との暮らしを想像したとき、女性らしく、無理をせず生きていくためにホルモンバランスが安定する「安心感」を求めるようになった。
そこで、女性ホルモンを整え強い身体をつくるために出会ったのが薬に頼らないハーブティー。
ハーブは、老化防止をしてくれる抗酸化作用がたくさん含まれ、一部分だけでなく、包括的に身体の調子を整え、自然治癒力を高めていってくれる存在だ。
お水とフルーツを摂り、その後、ゆったりとハーブティーを飲む。
この習慣によって、日々のホルモンバランス調整と免疫ある身体づくりができるようになり、体調に不安を感じていた頃が嘘だったかのように、いつも「安心」が感じられるようになった暮らし。
ハーブティーは、酵素デトックスで排出するだけでない、身体全体を見る視野と自分自身本来の力を高める大切さを教えてくれた。
正直に生きることを決めた日から、10年。変わったことは、自分の可能性を掘り下げられるようになったこと。
フィトテラピー(植物療法)講座
酵素やハーブを取り入れる生活を意識して、本当に必要な大切な人たちとの時間に絞った暮らしに変えていったことで、血圧は正常値になり、体内が自然と巡るようになり、免疫もアップし、わかりやすいのは風邪をひかなくなったこと。
体も軽くなり適正体重を維持できるようになった。
体調が安定したのは、もちろん人間関係を良くすることがストレスケアとなったことも大きいだろう。
ハーブティー ワークショップ
「正直に生きたい」と願っていた25歳のあの頃、「人生ってこんなものだよね」と妙に納得しているような感覚におおわれている反面、どこか心の片隅で「いや、こんなものじゃないはずだ」と根拠のない自信を持ち続けていた。
これは、わたしが10年の間、幼い頃からシンガポールで外からの日本を見る視点であったり、人種の異なる人たちの「自分」というアイデンティティをもった生き方を見てきた経験があったことや自分とは全く違う生き方をしているミュージシャンの夫との出会いあったからだと思う。
「安定した人生がいい」
「目立たないほうがいい」
「女性は男性よりも先導に立たないほうがいい」
ほんとうにそれが必要なことだろうか?
そう問いかけて、自分に正直であるために「守りに入る」とらわれから一歩離れてみると、「自分の価値観に執着しないこと」を大切にできるようになる。
デトックスをすることで、自分が固執してしまっている信じてきたものを壊して、フィールドを広くしておく視点が生まれるからだ。
デトックス後は、アロマテラピー、フィトテラピーを本格的に学び、植物療法士となり、自分だけでなく、家族の健康にも役立つ知識が身に付き、周囲へのセルフケアのアドバイスが行えるようになった。
Documentary Gift ハーブティーブレンド
常識にとらわれず、自分たちの力で手作り挙式を行うこともでき、モノづくりを通して家族だけでない深い人間関係を育むことができた。
ハーブティーセルフケアをして迎えた
ウエディングパーティー
また、美容メディア運営、現在はカフェなど店舗向けハーブティーメニュー企画やオリジナルハーブティー販売、オーダー家具販売、Documentary Giftメディア編集長と美容・健康だけにとどまらず、大切な人と好奇心をもって生きていく暮らしのストーリーを発信している。
以前にセルフケアのメニューを受けていただいていた方々にも、内側からの美容ケアとしてハーブティーのアドバイスをしながらお伝えしていたのは「自分の個性を大切に可能性を掘り下げて生きること」だった。
デトックスをして得られる本当の効果とは、体も心も不安から解放されて、何歳になっても自分の可能性を信じられるようになることなのだと思う。
いつだって自分をリセットするために、デトックスをして生きていけばいい
どうしようもなく自分の暮らしを変えたかったあの頃。
正直に生きるというのは年齢を重ねた今もなかなか難しいことだと思う。
「なんか違う。」
その直感がそう教えても、わたしたちは、さまざまなしがらみ、習慣に縛られて、我慢したりしてしまう。
でも、この10年でわかったことは、身体や人生は自分が大切なものを選ぶことを一つずつ決めさえすれば、いつでもリセットができるということ。
自分に正直であるために、暮らしの中で「違うと感じるものをなくしていく」ことで、今は、何かを忘れるためじゃなく、より良い出会いを求めて純粋に音楽を楽しむためにイヤフォンをつけるようになった。
体調が悪化する不安をなくすためじゃなく、「薬がなくてもなんとかできる」身体作りができるようになった。
この「どうにかなる」という安心感のある感覚は自分をリセットしなければ得られない。
逆に、リセットができたなら、誰でも自分に対して自然体で生きられるようになる。
先が見えない気がしていた未来も、個性を認め合える夫と結婚して、美味しいごはんを食べながらも、日々のデトックスで健康に巡る身体をキープしていることで、好きなことに挑戦できる毎日を送っている。
嘘をつかない自分を生きている今をあの頃のわたしに伝えたい。
もし、あなたが「なんだか埋もれてきたな...」と感じていたら、自分にとって今求めているものが見えていないサイン。
まずは見ないようにしていたことと向き合って、いらないものを一つ捨ててみよう。
「疲れたらリセットする」意識をしていけば、今望んでいることがクリアになり、それは近い将来、必ず現実となるはず。
竹内 亜希子 Akiko Takeuchi
-植物療法士(フィトセラピスト)
-女性の健康経営推進員
-健康経営エキスパートアドバイザー
幼少より10年間シンガポールで暮らす。
帰国後、会社員として働く中で余白時間を奪われる社会の渦に揉まれ、20代半ばに坐骨神経痛を一年患い、根本改善のためにストレスケアにフォーカス。食生活改善と植物療法を実践し、3ヶ月で完治。
植物療法士として、働く世代の女性の心身のセルフケア、ストレスやホルモンバランスの体の変化をコントロールできる体質づくりを指導。
オリジナルハーブティーブレンド 販売、カフェ等の店舗向けオリジナルハーブティー商品企画・提供、大切な人とのヘルシーな時間を追求するカルチャーメディア『Documentary Gift 』を運営。
現在は、ヘルスケア企業にて、健康保険組合や企業に向けた生活習慣改善プログラムの提供・運営や健康経営推進、中でも女性の健康づくりに注力。
働く女性にとっての「からだにいい生き方」や予防のための「セルフケア」を継続する暮らしのつくり方を伝えている。
趣味:日々の楽しみは、心打つライブと毎日調合するハーブティー、そして家族と食卓を囲う時間。