カフェでハーブティーがメニューにあると香りも良いし、からだにも良いから、つい選びたくなる。
でも、自分でハーブティーを買おうとすると、どこで買っていいのかよくわからないし、コーヒーショップと比べると...すぐに街で見かけない気がする。
ハーブティーが好きな人なら、そんな風に感じたことが一度はあるかもしれない。
30代半ばに向かうにつれ、特に女性は女性ホルモンの影響を受けやすいこととストレスも重なるなどで、薬や体力だけでは解決できない不調和と向き合うことが多くなり、からだに取り入れるものが昔以上に気になりはじめる。
これは、閉経を迎えるまでホルモンバランスに左右される女性のからだの自然な流れだ。
そんな時に、インターネットで検索すれば、たくさん商品は出てくるけれどコスメみたいに口コミが探しずらい。
当然、スキンケアと同じように質の良い信頼できるものを選びたいというのが本音...。
そんなあなたに、今日は植物療法士としても、プライベートでもよく利用している、おすすめのハーブティー専門店を紹介したいと思う。
そもそもハーブティー専門店って、どこにでもあるの?
オーガニックライフが広まったことと同時に一部の人にハーブが認知はされてきているけれど、日本ではまだまだ身近な存在とはいいがたいハーブ専門店。
ハーブティーは日本では医薬品ではなく、食品、雑貨扱い。
植物をつかったアロマセラピースキンケア商品などのブランドは増えてきていても、茶葉を販売しているお店は限られている。
実は、ヨーロッパでは「ハーブ薬局(フランス語ではエルボリステリア)」というものが古くから存在し、ハーブ医薬品の法整備が進んでいるから、ハーブティーやチンキといわれるハーブエキス、精油などを処方してくれるので、自分自身が不調を感じたときに「まずはハーブ薬局を訪れる」という文化が定着している。
もともと修道院がハーブを扱う場所であったという歴史的背景により、社会の中でハーブが自然に根付いていき、今日のハーブ薬局があるという見方も大きい。
実際に病院で診察を受ける場合、重篤な病気でなければフィトセラピー(植物療法)で治すという選択肢を提示するところもあるのだそう。
そんな文化的違いもあって、日本では残念ながら街を歩いていてドラッグストアや薬局を見つけるようにハーブの専門店は見つからない。
路面店はかなり少なく、百貨店、ルミネやアトレといった駅ビル、商業施設の中にあるのがほとんどだ。
また、個人経営のショップが地域密着型でやっていることもあるものの、それを探すのは時間がかかるのが現状なので、まずはハーブ専門ブランドの店舗を検索をして、行きやすいショップを探してみよう。
植物療法士の目線で見たハーブティー専門店の特徴
東京都内でハーブショップを探そうとしたとき、まず店舗数や場所で使いやすいブランドが3つある。
「その中でもどこがおすすめ?」という疑問もあると思うので、一つずつ特徴を見ていきたいと思う。
生活の木
立地の利便性:◎
試飲:OK(一部不可のハーブもあり)
茶葉の種類数・量:シングルハーブ約70種類、小サイズ約10g、100g以上も多数
※計り売りなし
※試飲カウンターなし
オーガニックハーバルライフを提唱して40年以上。全国120店舗、都内で圧倒的な店舗数があり立ち寄りやすく、オンラインショップもある生活の木。
特徴は、ハーブを70種類以上取り揃え、一方でアロマセラピー商品も主力のため精油や精油を使ったスキンケア商品を数多く並んでいること。
茶葉のハーブは、店舗の広さによって、ストックを置いておくスペースに差が出てくることから、店頭にない場合はオーダーとなるので、店内が一番広く100g以上のハーブも取り揃えが多い原宿表参道本店がおすすめ。
また、上の階にはハーバルライフカレッジ原宿表参道校が併設されており、より深く学びたい人にアロマセラピー、メディカルハーブ、アーユルヴェーダなどに関連した多彩な講座が設けられている。
▶WEBSITEはこちら「生活の木」
グリーンフラスコ
立地の利便性:△
試飲:OK (試飲カウンターあり)
茶葉の種類数・量:シングルハーブ約70種類、小サイズ約10g、一部50~80g
※計り売りなし
※大サイズの例:ダンディライオン、ローズ
店舗は自由が丘のみで営業時間が12時〜19時と利便性は少し欠けるものの、オンラインショップもあるので一度店舗へ訪れてお目当てのハーブがわかっているときや特定の希望のハーブが決まっているとき、通える範囲の方にはおすすめ。
特徴は、植物療法の第一人者であり、薬剤師の林真一郎先生が代表をつとめるショップのため、植物療法全般に関わる茶葉、アロマセラピーの精油、専門書などを取り揃えている。仕入れているハーブも日本の和ハーブなどを含め約90種類と、こだわりがあるものが多い。
第一線でアロマセラピーとメディカルハーブを牽引し続け、医師・薬剤師・看護師などとの情報交換も行っていることからホリスティック医学としてのハーブ療法の観点もしっかりと取り入れており、スタッフへも信頼して質問できるのもうれしい。
定期的にワークショップやイベントが数多く開催され、店舗の上の階には林真一郎先生が代表、池田明子先生が校長を務めるソフィア・フィトセラピー・カレッジという植物療法のスクールもあるので、一生使える知識を身につけたい!という人は、植物療法全般の深い知識を身につけることができる。
▶WEBSITEはこちら「グリーンフラスコ」
enherb(エンハーブ)
立地の利便性:〇
試飲:OK(一部不可のハーブもあり)
茶葉の種類数・量:シングルハーブ約70種類、小サイズ約10g、ブレンド50~100g多数
※試飲カウンターあり
※特定のハーブを大量希望の場合は予め問い合わせを
一部アロマセラピーの精油などの取り扱いもあるが、ハーブの茶葉の販売を主力とし、全国35店舗展開。オンラインショップあり。
特徴としては、ブレンドティーの種類を豊富に揃え、計り売りをしていること。
からだの症状にあわせて、一からブレンドティーをオーダーすることもできるし、固定のブレンドティーに希望のハーブをトッピングしてカスタマイズすることも可能。
「何もわからないから、まずはブレンドティーがいいと思っている」「じっくり話を聞いてもらい提案してほしい」という人や「妊娠中の症状に合ったブレンドティーが希望で、含まれているハーブの効能が今の時期に大丈夫か心配」という方などは、カウンターでヒアリングしてくれるので、相談してみよう。
▶WEBSITEはこちらハーブ専門店「enherb(エンハーブ)」
最後に、この3つのショップ以外にも、女性のからだのケアに寄り添い近年人気が出てきているこちらをプラスアルファでご紹介したいと思う。
【Cosme Kitchen HERBORISTERIE (コスメキッチン・エルボリステリア)】
立地の利便性:〇
試飲: 不可
茶葉の種類数・量: 約7種類、50〜100g
※小サイズなし
※計り売りなし
ヨーロッパにある、身体の不調を感じたときに相談に行くと植物の知識が豊富な薬剤師が親切丁寧に個人個人に合ったハーブやケアを提案してくれるエルボリステリアを日本版にアレンジしたオーガニックスキンケア商品などを取り扱う全国29店舗展開するコスメキッチン内のハーブ専門ブランド。
各コスメキッチン内の一角に商品が並んでいる。オンラインショップあり。
ただし、品揃えは現在のところ他の独立したハーブのみを取り扱う専門店と比べて少なく、茶葉やハーブ濃縮エキスのチンキは約7種ほど。
特徴は、ルボアフィトテラピースクールを主宰し、植物療法、特に女性のからだのデリケートゾーンなどを含めたケアについて第一線で活躍されている森田敦子さん監修のもと、フランスからの質の良いハーブを仕入れていること。
茶葉は基本シングルハーブ(時期によってブレンドの仕入れがある場合も)だが、PMSや冷え性、妊活など、女性特有のからだの悩みを改善するハーブを筆頭にフランスから質のよいハーブを取り揃えているので、ほかのハーブショップでは置いていないようなブレンドのチンキなどが30代〜40代の女性に人気。
※こちらのエルボリステリアでは、フランス語でハーブの茶葉を「ティザンヌ」、ハーブエキスのチンキを「タンチュメール」と明記している
難点は、在庫切れの場合にフランスからの仕入れのため、入る時期が未定で入荷待ちといわれてしまうことも。
▶オンラインショップはこちら「Cosme Kitchen HERBORISTERIE」
身近な場所にあったり、自分にとって相性のいいショップを選べれば、オンラインでも購入しやすくセルフケアを続けやすくなる。
ハーブショップでの茶葉の選び方「3ステップ」
いざハーブティー専門店へ足を運んでみると、まずは種類の多さに迷ってしまうもの。
からだの症状も一つではないことがほとんどなので、逆に内容を絞らずに伝えてみるのがポイント。
1 スタッフに「こんな風になりたい」という願望と味や香りの好みを伝えてみよう
たとえば、「便秘がつらくて...」とだけ伝えるのではなく、こんな風に伝えてみる。
「仕事が忙しくて胃腸が荒れ気味なので、デトックスできるものは?
便秘がちの症状もあるので吹き出物が...。
肌がキレイな状態になりたい。
味はスッキリ系のさわやかなものが好き。」
これなら、ストレス、消化、からだの巡り、おなかの張りを改善するものなどさまざまな角度からハーブティーを提案することができる。
願望を叶える組み合わせのハーブティー
上記のお悩みの場合は全体の症状に合うブレンドとして「リセットビューティーしたい時に」を勧めてくれることもあるだろう。
また、個人の体調に合わせてこんなハーブを組み合わせることで相乗効果を得られるのもハーブの強みだ。
胃腸のケアとスッキリ系の味:消化を助ける爽やかな味わいのペパーミントやベルベーヌ(レモンバーベナ)
便秘と肌荒れデトックス:肝臓の不調を改善するダンディライオン、ビタミンC豊富なローズヒップ
仕事疲れのストレス:鎮静、消炎作用のあるジャーマンカモミール、中枢性の神経を穏やかにして緊張を和らげるパッションフラワー
2 試飲ができるか確認して、できるものは必ずテイスティングしよう
ハーブティーは、デイリーケアとして続けることで自然治癒力のある状態がつくられていくので、ちゃんと好みの味か、毎日飲むなら飲みやすい味か確かめて。
お菓子とのティータイムにしか向かないと自分が感じる味は、何度も飲もうという気が起きなくなってしまうので、香りが癒されたり日本茶の味に似ているものなど、自分の暮らしに溶け込むお茶を。
試飲できるおすすめショップ
今日ご紹介した生活の木、グリーンフラスコ、エンハーブは試飲可能。
店舗、ものによって試飲出来ないハーブの種類もあるので確認が必要だが、基本お試しできるようになっているハーブがほとんどなので、遠慮せずにどんどん聞いてみよう。
3 気に入った味なら、最低1ヶ月分の量を買おう
ハーブティーは予防医学で薬のように即効性のあるものではない。
数週間から数か月つづけることで効果を実感できるようになるセルフケアだ。
飲用後、数時間後に汗や尿となって体外に排出されるので、副作用がゼロ。
だからこそ、しっかりと続けていくことで良い成分を体内でキープすることでき、からだが循環し免疫力のあるからだが作られていく。
日常的に続けられる好きな味のハーブをチョイスしたら、数種類の小サイズをまとめてでも1種類でも良いので、まずは1ヶ月お茶時間の習慣を取り入れよう。
毎日飲みやすいハーブティーの味
ダンディライオン:肝臓ケアをしてくれるダンディライオンはローストの焙煎タイプを選ぶと香ばしいほうじ茶のような味わい。ほかの茶葉より早く色が出るので約3分を目安に。
ネトル:血液浄化、造血作用があり鉄分、ミネラル豊富で貧血によいネトル。ほのかに甘みのある、ふんわりとした草の香りで緑茶を思わせる素朴な味わい。
ルイボス:血行促進をしてくれて抗酸化作用の高いルイボスティー。お茶の味とストレートの紅茶があわさったような味わい。
わたしのお気に入りのハーブ
最後に、個人的に「この茶葉はこの専門店の味が好き」というお気に入りのハーブをピックアップ。
グリーンフラスコのダンディライオンとマテ茶のローストタイプ
肝臓ケアをするダンディライオンは西洋たんぽぽの根の部分を使っているハーブ。
ローストタイプの焙煎をしているものが香ばしく美味しいのだが、焙煎具合で特におすすめなのがグリーンフラスコの「ダンディライオンルート」
もともと、ダンディライオンはたんぽぽコーヒーとして妊婦さんの飲むコーヒーで親しまれているので、濃く出すと非常に苦くなるので約3分が美味しくいただける目安。
続いて、栄養素が豊富で野菜不足によい南米のマテは、グリーンマテ茶とローストマテ茶があるが、こちらも焙煎しているローストタイプはグリーンフラスコのマテローストがおすすめ。
どちらも良い焙煎具合で、深みのあるハーブティーが味わえる。
エルボリステリアの女性にうれしいブレンドハーブエキスとヴァンルージュ (レッドグレープリーフ)やメリッサの茶葉
赤ぶどうの葉ヴァンルージュとメリッサ(レモンバーム)の茶葉。
ヴァンルージュはほのかに葡萄の香りがして奥行きのある深い味わい、メリッサは爽やかな香りとすっきり感のある味で、どちらもフランスのエルボリステリアと同品質のものを取り扱っているので、質の良い繊細さがある。
また、常備しているタンチュメール「for woman」(女性特有の不調を緩和しリズムを整える)と「inner warmth」(自律神経・女性ホルモンの乱れからくる冷えやむくみをケア)は、赤葡萄、ゴツコラ、高麗人参、フェンネル、イチョウなど豊富なハーブの種類をブレンドしていて、女性が抱える冷えやPMSなど特有な悩みを解決してくれるお助けアイテムとして重宝している2本だ。
生活の木「私の30日茶ブレンド」
これまで生活の木で取り扱ってこなかった高麗人参など東洋のハーブを含んでいるのが特徴のブレンドティー。
「私の30日茶」シリーズは種類が多く、デイリーケアに取り入れやすい上に、単品では手に入れづらい植物療法士でも気になるハーブが入っていて、飽きずに楽しめる。
わたしは、高麗人参ブレンドと女性の味方ブレンドを常備して、出かける日に時間がない朝はこちらを水筒に入れていくのが日課。
1ヵ月続けられるようになっているので、飲み終わったら別の味の30日茶に変えてみたり、わたしのように2種購入し、気分で変えながら2ヵ月続けていけるのも魅力。
ハーブティーは必ず専門店か植物療法士が監修するショップを選ぼう
ハーブティーは、五感を使って「美味しい」「良い香り」と感じることで、からだ全体に穏やかな相乗効果を得られる。
でも、忘れてはいけないのはハーブは薬草だということ。からだの状態や目的に合わせて選ぶとさまざまな不調を改善する手助けとなるセルフケア方法で、薬のルーツである。
今の日本では植物療法は医療行為ではない。
ハーブの持つ薬効は植物によってそれぞれ違い、多くのハーブティーはノンカフェインでも、たとえば今日紹介しているマテ茶はカフェインを含む。
中にはたくさん飲まない方が良いもの、持病によって、また薬との飲み合わせで飲まない方が良いもの、妊娠中は控えた方が良いものもある。
だからこそ、信頼できるショップや生産者から購入することも大切だ。
気になる不調は自己判断をせず、病院に行く選択肢も持ちながら、日々のケアとしてハーブをチョイスできるようにしておくことで自分を守れるかどうかの分かれ道にもなるものだと思う。
それを理解した上で、効能だけにとらわれず、ポットに茶葉をいれ、お湯を注ぎ、茶葉がだんだん開いていくのを見るほんの数分を大事にして、リラックスする時間をもってほしい。
そして、ハーブティーが粘膜にやさしく口から食道を通って消化器へ流れる、このラインの手当てをしながら、顔に香りが漂い、香りや蒸気からも薬効を得ることができる感覚を体感してみてはどうだろうか。
竹内 亜希子 Akiko Takeuchi
-植物療法士(フィトセラピスト)
-女性の健康経営推進員
-健康経営エキスパートアドバイザー
幼少より10年間シンガポールで暮らす。
帰国後、会社員として働く中で余白時間を奪われる社会の渦に揉まれ、20代半ばに坐骨神経痛を一年患い、根本改善のためにストレスケアにフォーカス。食生活改善と植物療法を実践し、3ヶ月で完治。
植物療法士として、働く世代の女性の心身のセルフケア、ストレスやホルモンバランスの体の変化をコントロールできる体質づくりを指導。
オリジナルハーブティーブレンド 販売、カフェ等の店舗向けオリジナルハーブティー商品企画・提供、大切な人とのヘルシーな時間を追求するカルチャーメディア『Documentary Gift 』を運営。
現在は、ヘルスケア企業にて、健康保険組合や企業に向けた生活習慣改善プログラムの提供・運営や健康経営推進、中でも女性の健康づくりに注力。
働く女性にとっての「からだにいい生き方」や予防のための「セルフケア」を継続する暮らしのつくり方を伝えている。
趣味:日々の楽しみは、心打つライブと毎日調合するハーブティー、そして家族と食卓を囲う時間。