この企画は、様々なジャンルの専門家の方を取材し、‶楽しさの高み"を目指した仕事への想いや大切な人との記憶に残る体験をお聞きするドキュメンタリー番組となっています。
今回はボタニカルライフスタイリストとして「植物のある暮らし」の提案をされている水野 啓子さんに取材させていただきました。
● ボタニカルライフスタイリストとしてどんなお仕事をされているのか?
● 何がきっかけで、専門家としての道を歩み始めたのか?
● 植物のある暮らしを手作りする技術を活かして、どのような喜びを生み出してきたのか?
などのお話を伺う中で、「心と身体が素直でいられる環境」を常に追求し、相手の想いに応える姿勢や芯の強さを感じました。
家族と充実した日々を送っているけれど、自分の時間が取れず、やってみたい!という内側にある好奇心を楽しめていないという女性に、是非読んでほしい内容です。
La Primavera
ラ・プリマヴェーラ 代表
ボタニカルライフスタイリスト
水野 啓子
(Keiko Mizuno)
- ボタニカル ライフ スタイリスト
- 一般社団法人日本フィトセラピー協会認定フィトセラピスト・フィトセラピーインストラクター
- フラワーコーディネーター
学生時代より学んだフラワーアレンジメントを生かし、ロンドン・ジェーンパッカー・フラワーショップにてブーケの作成・有名店の装花などの経験を積む。
帰国後、フラワーアレンジメント・テーブルコーディネート教室を主宰。
初心者向けの「ハーブ」「アロマ」「お花」をテーマにした年間講座やフィトセラピーインストラクターとして植物療法の講座を行うほか、ケータリング時のパーティースタイリングなども展開中。
→詳しくはこちら「ラ・プリマヴェーラとは」
ボタニカルライフスタイリストのお仕事ってどんなもの?
━━ 本日はお時間を頂いて、ありがとうございます。
早速ですが、ボタニカルライフスタイリストとして、具体的にどんな専門分野でどのような活動、お仕事をされているのか、お聞きして宜しいですか?
水野:ハーブやフラワーアレンジを学ぶ講座、資格認定コース、キッズワークショップ、パーティースタイリング、ブーケの作成など植物にまつわる内容を幅広くお伝えしています。
現在のメインの活動は、もっと手軽に日常に植物を取り入れてほしいという想いからBLC TOKYO (ボタニカルライフカレッジトウキョウ)という教室を主宰し、初心者でもスタートしやすい植物に特化をしたオリジナルの講座を年間で行っています。
━━ 私も、植物療法フィトセラピーやブーケ作りを学んだ際には水野先生に大変お世話になりましたが、ハーブやフラワーアレンジ、パーティスタイリング等、多岐に渡って活動されていますよね。
水野:今まで、ハーブ、お花など一個ずつ単体でやってきたものを良い所取りをして、融合したんです。
これまで「資格を取る」「もっと深く追求する」という所に一つずつを力を入れてきたので、もっと導入部分の良い所だけを取り、お手軽に植物についてを味わってもらい、まずは楽しい!と感じてもらうことに重きを置くスタイルにしました。
技を追求する前に「楽しいし自分はこれに向いてるな」と体感してもらうことってすごく大事なので。
特化していくのは、その後それぞれで良いと思っています。
実際にどんな風に植物の取り入れ方を教えているのですか?
━━ お話を伺っていると、いつもよりもう一歩やってみようということを体感してもらうスタイルですよね。
水野:かまえずに暮らしの中に「ほんの少し上乗せするだけで楽しい!」の導入を作りたくて。
だからこそ、本当に基本的なことはしっかりとお伝えした上で、あとは「贈り物をして楽しい!」と思うものや「目で見て楽しめるもの」として、流行りのハーバリウム、ワックスバー等も取り入れています。
BLCの教室風景。
左上がハーバリウム=植物標本。
植物を乾燥させて、ビンの中に入れオイルにつけて保存するオシャレな花の観賞の仕方。
(右:ポーセラーツ体験とのコラボレッスン ※真っ白な器にシール感覚で使える転写紙を切り貼りしてテーブルウェアを作るクラフト)
━━ 作ったり、身体にもいいことだったり、見て楽しんだり。
植物関係全般を教えられる水野先生ならではの内容だなぁと感じます。
水野:ありがとうございます。
BLCは、「ハーブ」→「アロマ」→「お花」を月替わりで学んでいく、年間12回の連続講座です。
春夏秋冬それぞれで、作って楽しい!食べて美味しい!観て安らぐ!をモットーに「ハーブ」「アロマ」「お花」のテーマを選んで行っています。
座学少なめ、実習多めの約1時間で何か1つを身につけて頂くプログラムになっています。
なぜ「植物を暮らしに取り入れること」を大事にしているのか?そのルーツは幼い頃、植物に囲まれていた生活空間にあった
━━ 植物のある暮らしの提案を専門分野にされたのには何かきっかけや理由があるんですか?
水野:もともと、とにかく植物が好きな家庭に育ったんです。
実は、家に温室があるくらい・・・。
━━ 温室ですか!
ちょっと想像がつかないのですが、植物用の温室ですか?
水野:愛知県に住んでいたのですが、祖母の趣味が変わっているというか、面白くて。
屋上に、プレハブ1軒くらいの透明なガラスに囲まれた家があったんですよ。
その中で植物園にいるみたいな形で温室で育てられる植物を育てていたので、 植物の手入れをしているのを見ながら育ったというのが自分の子供時代なんです。
小さい頃から、その屋上にいるのが大好きでした。
だから、自分にとって植物はあるのが当たり前だった。
━━ それは、すごい。
たしかに、幼い頃の大好きな場所の印象って鮮明に記憶に残りますよね。
水野:母は生け花をやっていたり、家の中にも常に植物が飾られていて、外に出れば植物園があるという環境でした。
家から出て一人で暮らした時に「私、植物がないと落ちつかないな・・・」ということに気づきました。
それがあって、お花に関係する仕事での留学をしたいと思うように。
お金を貯めて、一年お花を学ぶためにロンドンへ留学することを決意しました。
つらいことを一瞬で吹き飛ばす植物のパワーが、いつもニュートラルな自分に戻してくれる
━━ 留学先をロンドンにされたのは何か理由があったんですか?
水野:好きなお花屋さんがロンドンにあったので、募集されているかはわからないまま行ってみようと。
本当はもっと働いてお金を貯めたかったんですが、「今しかない」と思って仕事を辞めて。
━━ 何かを掴むためには、その時の行動力が必要ですよね。
水野:その頃は勢いがありましたね。
フラワーショップで実際に働き、料理やパーティーのセッティングなどお花に関することを様々学びましたが、お花の仕事ってとにかく大変なんです。
もう手もボロボロだし、重いし体力仕事で。
でも、ものすごく辛くて、しんどくて辞めたい!と思うのに、市場に行って大量のお花をさばいていると、本当にハッピーだった。
本当にしんどいけれど、すごく楽しい。
これって、ただ綺麗なだけじゃなく、パワーがあるものなんだなと。
だからこそ、自分に正直にこれまで続けてこれたのだと思います。
━━ 今もお子さんお二人いらっしゃる中でパワフルに活動されていますが、ハーブもお花を学んでいる頃から出会っていたのですか?
水野:ヨーロッパではハーブを使うのが普通なので留学中から自分で学んではいたのですが、ハーブを深めるきっかけとなったのは、1人目の子供がアレルギー体質で、治療のために強い薬を使い続けることに抵抗を感じたことからです。
すぐぶつぶつが出来ちゃったり、卵が食べれなかったり。
薬漬けにするのは嫌だったので、もう一度学び直そうと、フィトセラピー(植物療法)を勉強しました。
そこで、やはり植物は通じているなと思い、これは掘り下げるしかない、と。
今まで子供の頃の体験から、植物に対してフィーリングでパワーを感じていたものを、もっと科学的にも自分の中で落とし込みたいと思ったんです。
━━ 原点には、「どんな場所でも心と身体が素直でいられる生き方を」という想いがあるんですね。そのために、科学的にも心と体にパワーをもたらしてくれる植物を取り入れた環境作りを伝えていらっしゃる。
これからの時代には、ますます、普段外からは見えない生活環境の質を良くするために、五感を使う「植物ととも生きる暮らし」は求められている気がします。
手作りをすることで「次はこうしたい」と自分の天井を越えて変わっていく姿に励まされる
━━ 実際にレッスンをされていて、自らの力で暮らしが変わっていった生徒さんのお話などはありますか?是非聞いてみたいです。
水野:BLCのレッスンに通ってくださっている方は、意識がすごく変わってきます。
今までは例えばスキンケア商品にしても「とりあえず保湿」とか、よくわからないので「ドラッグストアで勧められたものを買っています」と言っていた方が、自分で作り始めたら「こんな風に良かったから、次はこうしたい」と言ってくださるようになるんです。
━━ 自分できることが広がって、中身にも安心できるからこそ、前に進めるようになる。
水野:例えば子供のアトピーに悩んでいたことが少しずつ改善されていくと、「次はこうしたい」の意欲がすごく出てきているのがわかります。
あとは、お花を飾ることについては「贈って喜ばれた」といった声も多くお聞きします。
自分が作ったもので人が「こんなにも喜んでくれるんだ」という体験をして、今まで視点がなかった所に目が向くようになり本当に良かったという感想をたくさん言ってくださるのが、とても励みになりますね。
━━ 自分の中の当たり前のバーをあげられて、目線が変わっていくのは大きな一歩だと思います。
身体の変化は一定の時間がかかりますし、まず意識を変えるのが大変だとは思いますが。
水野:もちろん子供のアトピーの改善などは約3ヶ月など、個人さもあり一定の期間かかりますが、全くのシンプルな成分から自分で作って、お母さん自身がとても安心して使える。
「何が入っているか、治るかどうかもわからない」じゃなくて、自分が選んだこれだけのものが入っているのだからと、安心感で毎日つけてあげることで、「大丈夫、大丈夫」と子供に伝えてあげられることができるようになるんです。
「やってみたい」という想いを尊重したい
写真:水野先生のブーケレッスンで学び、編集長が挙式当日手作りしたウエディングブーケ
━━ レッスンに来られる方々はオーダーよりも、「自分で作りたい」という方が多いのでしょうか?
水野:オーダーのご相談を受けることはありますが、やはり自分で作りたい方が多く、ウエディング関係などでもブーケ作りやプチギフト関係のお手伝いで、アロマソープ、バスソルト、アロマの練り香水を業者とタイアップしたり。
手作りのお手伝いをしていることが多いですね。
━━ ギフトの場合、どうやったら喜んでもらえるか?を考えて手作りをすることって、相手のことを想いながらも、自分の中にも意識を向けて伝えたい想いを深っていく作業ですよね。
そういう時間を持つこと自体が、すごい価値のあることなのかもしれないなって。
水野:そのお手伝いはすごく幸せになるお手伝いだから喜んでやらせていただいています。
━━ 手作りブーケやギフトのお手伝いの際、ご自身の中で大切にされていることはありますか?
水野:「やってみたい」という想いを尊重することですね。
コストを抑えつつも自分で自分なりのウエディングブーケを作りたい、という方だったら、お花の選定の仕方、手配、ブーケのまとめ方まで、自分でできる方法をアドバイスさせていただいたり。
その方の想いを聞いて、それに応えようとすることを大事にしています。
━━ 私も実際に水野先生からハーブやブーケ作りを学ばせて頂いたので、その姿勢は実感としてわかりますし、素晴らしい理念でとても共感します。
もっとお話を伺いたいのですが、残念ながら、お時間が来てしまいました・・・。
最後に今後新たにやってみたいと思われていることがありましたら、是非、教えてください。
水野:実は、結構、遠方からお問い合わせをいただくことが多く、2時間くらいかけて来てくださったりするんです。でも、往復するよりもレッスンの時間の方が短いので、それが申し訳なくて・・・。
もっと気軽にできるように、オンラインで完結できるものを整えられればと構想しています。
手作りのキットをお送りして、それをもとにオンラインで一緒に作っていく講座を考えていまして、来年早々にできればと準備中です。
━━ 来年早々というと、もう間もなくですね!
オンラインでフラットに学べてすぐにできるハードルの低さって大事ですから、待っている方も多いのではないかと思います。
もっと、お手軽に「植物を取り入れた時間」をたくさんの方へ届けられることを私も応援しています。
本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。
最近リニューアルされたWEBサイトのページをご紹介させていただいて宜しいですか?
水野:もちろんです!ありがとうございます。
今回お話を伺った水野啓子さんは、ボタニカルライフスタイリストとして「植物と暮らすと「私」がもっと輝きはじめる」をテーマに、ハーブやお花にまつわる初めての方でもわかりやすいレッスン開催の情報を発信されています。
女性が自分らしくイキイキと輝ける社会を目指して、一人ひとりに寄り添った心地よい環境作りを提案する丁寧な活動を通じて全国よりファンを集めています。
"La Primavera ラ・プリマヴェーラ 春を感じられるライフスタイル"
を是非こちらから覗いてみてください↓↓
取材・編集:Documentary Gift 編集長
撮影:Documentary Gift 編集部
竹内 亜希子 Akiko Takeuchi
-植物療法士(フィトセラピスト)
-女性の健康経営推進員
-健康経営エキスパートアドバイザー
幼少より10年間シンガポールで暮らす。
帰国後、会社員として働く中で余白時間を奪われる社会の渦に揉まれ、20代半ばに坐骨神経痛を一年患い、根本改善のためにストレスケアにフォーカス。食生活改善と植物療法を実践し、3ヶ月で完治。
植物療法士として、働く世代の女性の心身のセルフケア、ストレスやホルモンバランスの体の変化をコントロールできる体質づくりを指導。
オリジナルハーブティーブレンド 販売、カフェ等の店舗向けオリジナルハーブティー商品企画・提供、大切な人とのヘルシーな時間を追求するカルチャーメディア『Documentary Gift 』を運営。
現在は、ヘルスケア企業にて、健康保険組合や企業に向けた生活習慣改善プログラムの提供・運営や健康経営推進、中でも女性の健康づくりに注力。
働く女性にとっての「からだにいい生き方」や予防のための「セルフケア」を継続する暮らしのつくり方を伝えている。
趣味:日々の楽しみは、心打つライブと毎日調合するハーブティー、そして家族と食卓を囲う時間。