都会で自由に生きるにはそれなりのパワーがいる。
人の多さという喧噪と経済の流れには灰色のイメージを感じるし、消耗するのも早い。
わたしは東京の世田谷が地元で、親の転勤で幼少期からシンガポールで10年暮らし、日本と行ったり来たりしていた。
大学生からまた東京で暮らし始めたので、故郷はシンガポール?東京?という中途半端な感覚だった。
10代の頃は色んなことが窮屈に感じ、たまらなく日本を出たかったときもあったけれど、いまは東京に根を下ろしている。
どこで生きるか、何の仕事をするか、誰と生きるか。
自分の価値観にあった望む生き方は自分で掴むしかない。
34歳の今、都会に対して思うことは、良くも悪くも、競争や仕事の関係を超えて「雑多」な人やモノが自分の力で見つけた出会いから血を通わせている場所だということ。
東京は東京の人のものではなく、日本全国に支えられていて、生い立ちも生き方もバラバラの人たちの雑多な個性があちらこちらに散らばっている。
お金を使ったり、競い合ったり、消費をする経済中心の街もあれば、生活感のある下町人情な所もあるので「どこでどうやって生きていきたいか」で都会での生き方も変わってくるのだ。
この渦の中ではさまざまなエネルギーが行き交っているので、自分のからだをコントロールしていないと気づいたときにはパワーを消耗してしまうことが多々あるのだけれど、意外とそれができない人の方が多い...。
じゃあ、都会のどこにいても自分らしく解放されて生きていくには、どうしたらいいだろう?
自分の人生を生きている実感がなかった20代に出会ったハーブの存在
都会で暮らしている中でエネルギー消費がしやすいと感じるのは、実際、自分自身が消耗していった実体験があったからだと思う。
薬ではどうにもならないことがわたしたちのからだにはあるんだと身をもって実感したのは、まだ人生経験も浅かった25歳くらいの頃。
シンガポールから帰国後、日本社会に入ったときに、なぜか周囲の顔色をうかがって会話をしている人たちが目についた。
本当の根っこにある本音は見えない環境が多いことを常々疑問に思っていたし、当時は自分自身も本音をため込んでいて、家族や恋人がいてもどこか満たされない不安を抱えていたように思う。
●このままやりたいことを諦めて枠にはまった仕事の中で無難に生きていくのだろうか?
●心の底から本当の気持ちを話せない人といっしょに居続ける意味はあるの?
●重たい生理痛、この先ずっと定量ピルや鎮痛剤を飲みつづけるのだろうか?
●何か月もつづくからだが痒くなる蕁麻疹、薬を飲んでいてもよくならないのか?
いつもどこかに不安を感じながら生き方を模索して、なんともいえない孤独感と闘っていたとき、そろそろもう...と心身ともに疲弊してきていた頃、からだの不調があらわれ始める。
よく不定愁訴とよばれるなんとなく体調が悪いという症状(胃の不調、からだが重いなど)を耳にするが、実はこれらは自律神経の変調から引き起こされる症状が驚くほど多い。
職場の人間関係や毎日の残業で余白時間を奪われていたストレスから、わたしが経験した毎日襲われる坐骨神経痛は1年間続き、蕁麻疹も薬でおさえては繰り返しのスパイラル。
出口の見えない体のトラブルは本当につらかった...。
精神的なものが絡んでいると、病院では原因が突きとめられないので自分自身で気づくしかなく、そんなときに出会ったのが、漢方や薬よりも穏やかにからだ全体にアプローチしてくれるハーブだったのである。
からだ全体のバランスを整え調和させるセルフケア
ある植物療法士の方から「今のからだと心の症状にはこれ」と、数分で自分の状態を診てもらい、お茶の味や香りを試しながら好きだと伝えたゼラニウムのフレッシュな葉もいくつかお土産に持ち帰らせてもらう。
医薬品はもともとハーブから取り出した成分を合成したものが多いとわかってから、薬のルーツであるハーブとはいったいどんなものなのかと急速に興味が湧いた。
ハーブの成分をゆっくりからだに取り込むことで、心とからだ全体に働きかけながら、バランスを整え調和させるということはこれまで感じたことのない体験だったから。
それに、香りを楽しむ時間の効果は絶大で、物質じゃなくて人間の中枢である脳幹にアタックできる(五感の中で嗅覚だけがダイレクトに脳に届く)、感性にタッチできる植物の香りというセルフケアはなんともドラマチックだったのだ。
その後、ハーブケアを用いながら人づきあいや環境が変わり、約3ヶ月で徐々にからだの疲れが緩和していくのを体感したことで、ようやく日々のイライラから来るストレスが根本原因だったことに気づく。
坐骨神経痛を発症してから、すでに一年後。
表面上だけではない、香りを感じながら自然そのままのティーを飲むというシンプルでいてパワフルなセルフケア。
はじめて自分の内側に触れて「からだの声に応えてあげられた」という感覚で、自分自身に近づいた瞬間だった。
自ら免疫をつくり出すたくましさこそがハーブの本来の姿
ハーブティーがほかのお茶よりもからだの症状に有効なさまざまな成分をもっていることは、なんとなく知っている人は多いかもしれないけれど、なぜそんなに効能をもちあわせているのだろうか?
たとえば、道を歩いていてへたっている植物も気づくとまた起き上がっている姿や庭の植物がもう枯れてしまったかと思うとまた芽を出して生えてくる、そんな場面を見かけることがある。
これは植物の特徴で、彼らは雨が降っても、嵐になっても、強烈な日差しにも、虫が襲ってきても、人に踏まれ続けても、動物のように移動ができないのでへこたれているわけにもいかない。
だから、動物のようにほかの生き物や植物を食すのではなく、自らのからだを守るために抗酸化作用や免疫増強作用などの有効成分を光合成で作り出しているのだ。
自分の力で必要な成分を生み出すことが、植物の本来のもつ力。
この科学的にも裏付けられている植物化学成分は、1つのハーブには何百、何千という成分が含まれているため、ダイレクトにからだの1箇所へ届くのではなく、多様成分による相乗効果がある。
じっと自己を防衛しながら、どこでもたくましく生きることができるのは、動くことができる動物や人間にはない強さなのである。
たくさんの栄養素が摂れてデトックスができるものはハーブならでは
You are what you eat.
あなた=あなたが食べるもの
という英語のことわざがあるように、食べたものの結果が自分をあらわしているのは世界で通用する考え方になっている。
でも、大切な人と美味しいものを食べているときの幸福感を知っていたら、美味しいと思うものを好きなように食べることが心の健康であることをきっと誰もが実感しているし、あまり制限はかけたくない。
そこで、食を楽しむために欠かせないことは、胃腸が健康であること。
腸は栄養素を吸収するだけでなく、外からの異物や菌を取り込まないようにしていて、実はこの免疫機能の8割が腸にある。
食事を摂るのと同様に大切なのが排泄だとよく聞くことがあると思う。
実は、ハーブは栄養素や有効成分を取り入れるだけでなく、食物繊維や善玉菌を増やして腸内環境を整える成分を含んでいるため、消化吸収がよくなり排泄もスムーズになり、代謝をあげることができる。
もちろん、食生活や無理をしすぎない普段の基盤作りは必要。
それでも、ときにハードな日がつづく中でずっとからだのケアを続けてきてわかったのは、ハーブの相乗効果に勝るセルフケアはなかなかないということだった。
どんな場所、どんな時も「自分は大丈夫だ」と安心して暮らせるからだを手に入れられたことが何よりも自信になる
ハーブティーを取り入れる生活から感じる一番のことは、身の周りのケアは自分でできる安心感が心の安定をもたらしてくれていることだと思う。
●大事な予定が続くのに身体が疲れていて風邪をひきそうなときは?
→ここぞという免疫アップのエキナセアのハーブティーやエキスでケアできるから大丈夫。●妊娠したときに自分の身体はどうなってしまうのだろう?
→体調不良の時はハーブティーで対処できるし、妊娠線などボディケアは植物性のクリームやオイルを使えば身体にも悪影響もないから、いつでも使える。●毎月くる生理が重い...。低量ピルを使えば軽くなるけど、子供がほしいから避妊したくないし、鎮痛剤などなるべく薬を使いたくない...。
→子宮の筋肉を調整するラズベリーリーフや痛みの領域に役立つパッションフラワーなどのハーブティーがあるから早めに飲み始めてケアして身体を休ませよう。
自分以外の家族や周囲の人たちが困っているときも、必ず役立つものがあることもわかる、中身まで見極める目を養えるようになった自信が今の自分の身体を支えているのだと思う。
日常の暮らしの中では、ハーブを食べたりハーブティーを飲
ローズヒップ大根あめ
(大根とはハチミツ+ビタミンC豊富なローズヒップをまぜたもの。喉の炎症に。)
これまで、からだのケアは何か不調が生じると外に頼っていた自分にとって、身の回りのことはお水、アルコール、少しのハーブと精油があれば何でもできることがわかってから、生きていくことが楽に感じられるようになった気がする。
いつのまにか、ハーブを通して「自分は大丈夫だ」と常に思える自分との信頼関係を築いていたんだなぁと思う。
からだを助けること以上に教えてもらったのは自分自身を生き抜く力
これだけ人のからだに良い成分を含んでいるハーブは、セルフケアのベースに欠かせない存在だということは十分であるくらい身をもって感じてきた中で、それ以上に気づかされたのは別のこと。
それは、ぶれそうになったときに、どれだけ自分らしく人生を生き抜く力を普段から蓄えておけるかということ。
わたしたちが普段目にするハーブは、ドライハーブやカットされているフレッシュハーブが多く、実際のハーブがどんな姿なのかはわからないままに使っていることが大半だろう。
でも、本来の植物の姿は、粉々になっているドライハーブやボトルに入っている精油ではなく、好んだ場所で向きも好き勝手に仲良くなって、譲り合ってバランスを取って、のびのび育つ、たくましいそのままの姿形がある。
キレイな花を咲かせるもの、時計の形をしたもの、実をつけるもの、大きな木。
たとえば、ミントは畑に植えると畑がミントの根っこだらけになるほどで、どんな状況においても勝手に実っていくように生命力の強いハーブは、どんな環境でもそのままの姿で生き抜く力強さをもっている。
そんな、それぞれのハーブらしさをイメージしながら香りや味、効能の力を借りることで、わたしたちはもっと強く、しなやかに、前向きに、ここぞというときに芯を失わずに踏ん張れるようにさせてくれるのだと思う。
どんな場所でどんな服を着て化粧をしていても、誰といても、本来の自分の中身は変わらないという軸を、ハーブティーを飲んでいると想い起こさせてくれる。
都会でハングリーに生きるあなたこそハーブを味方にしてほしい
いまは場所が固定されない働き方の選択肢がどんどん増えているので、田舎や海外などへの移住をする人も多く、暮らす場所や空間はこれまで以上に重要視されている。
でも、それよりも大事なのどこにいてもぶれない生き方ができる自分になること。
わたしの場合、この先「どこでも生きていける」というハングリー精神は、ハーブから学ぶことができたように思う。
実際、自分自身が好きなものは食べることを常に大事にする食卓時間を楽しみながらも、ハーブティーを中心とした身体のケアを継続していて、もう10年近く風邪をひいていない。
実践しているフルーツやサラダから酵素を取り入れる少しのデトックスとハーブで免疫が保たれているわたしの身体が自分自身を評価してくれているように感じる日々。
忙しい生活を送っていれば生理が重くなったり、頭が痛くなったり、ちょっとした体調の変化はあるけれど、変化に気づくようにもなり、すぐに対処ができるようになったことが、とても大きな変化だと思う。
好きなことや今よりももっと楽しい時間を過ごすために、いつでも立ち上がれる自分でいられるようになった今の暮らし。
たまに都会の喧騒に疲れて心の体力が弱ることがあっても、ピュアに立ち上がって生きるあなたにはハーブの力を借りて自分に還る時間に恵まれて生きる暮らしを送ってほしい。
いい生活は、芯となる軸をしっかりもって自由に生きること。
ぜひ、内側にある雑多な個性を守るために、ハーブティーを飲む時間をつくって、強い心とからだの基盤となる源を育んでいってみてはどうだろうか。
デイリーケアにおすすめの1day Rhythm(朝・昼・夜用)ハーブティーブレンドはこちらよりどうぞ▼
竹内 亜希子 Akiko Takeuchi
-植物療法士(フィトセラピスト)
-女性の健康経営推進員
-健康経営エキスパートアドバイザー
幼少より10年間シンガポールで暮らす。
帰国後、会社員として働く中で余白時間を奪われる社会の渦に揉まれ、20代半ばに坐骨神経痛を一年患い、根本改善のためにストレスケアにフォーカス。食生活改善と植物療法を実践し、3ヶ月で完治。
植物療法士として、働く世代の女性の心身のセルフケア、ストレスやホルモンバランスの体の変化をコントロールできる体質づくりを指導。
オリジナルハーブティーブレンド 販売、カフェ等の店舗向けオリジナルハーブティー商品企画・提供、大切な人とのヘルシーな時間を追求するカルチャーメディア『Documentary Gift 』を運営。
現在は、ヘルスケア企業にて、健康保険組合や企業に向けた生活習慣改善プログラムの提供・運営や健康経営推進、中でも女性の健康づくりに注力。
働く女性にとっての「からだにいい生き方」や予防のための「セルフケア」を継続する暮らしのつくり方を伝えている。
趣味:日々の楽しみは、心打つライブと毎日調合するハーブティー、そして家族と食卓を囲う時間。