10代の若い頃から、美容院に行くのが好きだった。
シンガポールに暮らしていた小学生の頃は、日本人のやっている美容院に行っていたような記憶があるくらいで、ほとんど覚えていない。
一旦、帰国した小5の頃、日本では90年代真っ只中、小室ファミリー全盛期で篠原涼子の「恋しさと せつなさと 心強さと」が大流行中。
街のネオンに、少し出かけたら下北沢、足をのばせば原宿。
この喧噪に慣れるまで3日くらい部屋から出てこなかった記憶があるけれども...、それ以降は「日本の娯楽ってなんかすごい....!」と音楽や漫画、食べ物、洋服、コスメ、街での遊びに夢中になっていた。
そんなとき、母から「やっぱり女の子は美容院のほうがいいだろうから、あきことお母さんは美容院ね。(当時、男性陣は床屋へ)」
そう言われて地元の美容院に行ったところから、わたしの記憶にある美容院との関係がスタートした。
美容院に行くと、何か変わるの?
「背伸びしたい」という想いが自分のスタイルをつくる
美容院に行くと、10歳だろうが席に座り1対1で髪を切ってもらえる。
置いている雑誌はキッズ用でないし、載っているモデルは大人ばかり。
たいしてスタイルが確立されているわけではないこの年齢では、何が似合うかとか自分のことなんてわかっていないが、「こうしたい」と声を発すれば、10歳の意志でも届く期待があった。
美容院でいつも少しだけ背伸びをして、新しい髪型にするたびに、一歩前に進むような自分を作っていける感覚があったのだと思う。
ただ、昔と比べ、個性の尊重が叫ばれる今の時代、世間では「ありのままでいい」っていう風潮がどんどん強くなっている。
以前に、子供からアラフォーなど親世代まで世界的に大ヒットした映画「アナと雪の女王」(主題歌「Let It Go~ありのままで~)が広まっているときも、この傾向に違和感を感じていた。
等身大の想いは、いつの世にもあったけれど、「ありのまま」という言葉が一人歩きし、「自分はもうこのままでいいんだー」という風潮になっている人が増えているように見えるからだ。
自分の意志をもって自然体で生きるのと、与えられたものを、何も考えずにそのまま受け入れているだけの状態は、まったく意味が違う。
問題から目を背けるための都合の良い言葉に乗っかっているだけでは、現実は何も変わらないし、成長できなくなってしまう。
自分のスタイルとは、これまで工夫をして積み重ねてきた人生から作られるものなので、髪型一つにしても、ありのままで立ち止まっていたらスタイルは作れない。
むしろ等身大の自分を理解することは、その後にチャレンジできる背伸びをするためのファーストステップだ。
成長も、スタイル作りも、ほんの少し背伸びをすることの繰り返しなのだと思う。
「美容院」という響きが特別だった10代の頃に感じていたこと
「美容院」という響きは、小学校高学年の自分には特別なものに感じ、地元であっても「自分は美容院に行っている」という自信と、行くと必ず綺麗になれる予感 をくれた。
中学生になると、もう少し背伸びをして友達から紹介してもらった下北沢の美容院に通い始めた。
その時の美容師さんが、これまでの美容院生活の中で一度だけの女性。
まだ若かった自分には、働く人すべてがおしゃれに感じ、高校からまたシンガポールへ行ったときも、一時帰国中には必ず行き、流行りのゆるふわパーマをかけてもらった時の嬉しさもよく覚えている。
好奇心が強い年頃で毎回明るめカラーとパーマを交互に繰り返していた高校時代。
今思えば女性だから話せたことも、たくさんあった気がする。
よく話していたのは、女性がやりたいと思う髪と男性が良いと思うスタイルって違うよね、なんていうものから、サロン内のアシスタントのあの人がかっこいいからシャンプー緊張するとか...プライベートの恋愛のことなど、さまざま。
大学生になってからも、変わらずヘアスタイル雑誌を見て、「次はどんな髪型にしようか?」 と考えていたある日、彼女からイギリスに行くのでしばらく日本を離れると告げられた。
うろ覚えだけれど、「行くなら今しかない、チャレンジしたい」という内容だったと思う。
そこから、ぽっかり穴があいたところをうめるように、雑誌の切り抜きや画像を保存して、今度は表参道の美容院を周りながら、「こんなヘアスタイルにしたい」と希望を伝える日々が始まった。
やっぱり、センスがわからない相手に「おまかせ」はできないし不安がある。
わたしにとって、美容院は「背伸びをして、ちょっと努力すれば、髪型といっしょに新たな自分のスタイルに近づける」 場所だったのだろう。
もう一つの欲を満たしてくれた今のヘアサロン
表参道のヘアサロンも、さまざまな店舗を試しながら気づいたのは、青山だからイケてるわけではないということだった。
もちろん、サロンが集中するエリアなので、一定のセンスはクリアしているところが多い。
でも、仕上がり、サービス面、雰囲気などいつもどこか満たされていなかった。
たぶん、本気で目の前の個人の個性を生かして、トータルでファッションを完成させるためのヘアスタイル を作ってくれるサロンに出会えなかったからだと思う。
自分の「なりたいスタイル」もあるけれど、わたしはそれ以上に、言われたことだけじゃない想像を超えてくるスタイルを作ってほしかった。
そんなある日、就活をしていた大学3年生くらいの頃に見つけた表参道エリアのヘアサロンが、スタイルを作ることだけじゃない、もう一つの欲 を満たしてくれることになる。
それが今に至るまで10年以上担当をしてもらっている美容師さんとの出会いになる。
そのお店で指名をした店長さんは、やりたいヘアスタイルを相談すると、本人の髪質やスタイルに沿わなそうであればアドバイスをくれ、素人の自分にもやりやすい再現性のあるスタイルを作ってくれた。
ただ、ここまで長く通い続けているのは、べつの理由がある。
それは、「常に美容とファッション センスを追求する姿勢」 があるからだった。
「美容師なんだから、美容に詳しくて当たり前」「美容院なんだから、センスがあって当たり前」と思うかもしれないけれど、さんざん美容院めぐりをしてきた自分は、意外とそういうお店が少ないことはよくわかっていた。
ヘアスタイルを自由に楽しむためには、ファッションを含めた観点はもちろん健康な髪や頭皮の状態をキープする必要がある。
髪や頭皮のこと、使う商品知識の深さはもちろんのこと、当時の記憶を辿ると「●●に変わる商品を一年以上探していて、やっと見つけたこんなものがあるから、こういったセルフケアのアプローチができるようになるよ」 と選択肢を与えてくれたり。
いち早く、より良い商品やケア法を取り入れるためのアンテナが高くて、新商品を導入する決断も早いのは、働くスタッフたち自身がライフスタイルを楽しむために、好奇心に正直に生きているからなんだろうなぁと気づいた。
そして、価値観の合った仲間3人で、自分たちと顧客の内側の声を大切にして、より良いスタイルを育てていく場作りに力を入れるために独立し、2018年の9/1、外苑前にヘアサロン『VOICE』 をオープンした。
自分たちの意志や想いを発信する。
高い技術とセンスを磨き、人間としても成長しながら、顧客や周囲の応援してくれる人たちの声をしっかり聴いて、反映し、より良いお店にしていく。
新店舗では、もっと自由な発想でライフスタイルを楽しむために、オリジナルのアパレル商品の販売や不定期でKICK SIDE MARKETというフリーマーケットを開催したり、現在の店長は個人で周囲の仲間とオシャレをすること、ライフスタイルをいい感じにしていくことをラフに楽しめるようなWEB SHOP「EARLY TO LATE」を6月にオープンする予定だそう。
そんな美容を追求する姿勢と、周囲の声を聴く会話力 もあって、オープンから客足は絶えない。
表参道でのサロン探しをしていた頃とは違い、今はその日の気分を伝える程度で、「ヘアスタイルを自由に楽しむための美容センス欲」を変わらず満たしてくれている。
夫から「美容師だってアーティストなんだから冒険してほしい」と言われて気づいた自分の本音
これまでの話の通り、わたしはヘアサロン選びにこだわっている方だ。
でも、美容院好きのわたしと比べて、ミュージシャンでトランペッターの夫は一つの美容院にこだわることに興味がない。
まったく頭皮や髪の健康は気にせず、いかに短時間で新しいスタイルをバシっと即手に入れられるかを重要視している。
だから、毎回その場で美容院を探し、パッとカットをしに行く。
美容院でよくありがちな、「初回は様子を見てみてあまり冒険しようとしない」「髪質や前回のカット具合を引き合いに出される」「耳の向きが少し立っているからやりずらい」といった、まるで顧客自身を言い訳にしている感じは特に性に合わないみたいで。
「1回でスタイルを決める方向にもっていけないのは技量の問題で、プロとしてカバーすべきところを顧客のせいにするな」 と以前にも、こう話していた。
「美容師に対しては、職業は違うけど同じアーティストとして見ている。自分がミュージシャンであることやライブがあることなど必要な最低限の情報、エッセンスを伝えているのだから、同じアーティストとして、そこを汲み取って冒険する力量がほしい。」
彼にとっては、健康な髪への手入れだったり、どれだけ時間をかけて丁寧にやるかとか、そんなことよりも、美容師が一番に向き合うべきは
「スタイル作り」 なのだから、むしろプロなら短い時間だろうが顧客に合わせたスタイル作りをまっとうしてほしいということなのだ。
たしかに、顧客がヘアサロンに求めることの本質をついていると思う。
わたしも、サロンに通うたびに、慣れてくれば毎回同じ髪型になりがちになる感覚からどう抜け出せばいいのか解決できずにいることがよくあるからだ。
ただ、現実的に、仕事の問題でカラーをかなり明るくすることはできなかったりして、大きく違う雰囲気を味わうにはイベントごとでのアレンジをする程度にとどまることも多い。
女性のように髪が長い場合、2~3ヶ月の間、できる限り状態をキープできることがマストとなると、どうしても丁寧なカットと健康的な頭皮・髪のケアは重要視される。
どの程度の制限があるか、何を求めるかはその人のライフスタイルによる。
夫婦でもここまで求めているものが違うとなって、改めて気づかされたのは、結局、最終的にカット・カラーが的確に決まることは当然でありながら、テクニックよりも必要なのは、心の中を読み取る力(センス) なのだということ。
ファッションも、自分がどう見えたいかを表現するもの。
だからこそ、日頃のライフスタイルから今日のその人を見て、ちょっとしか変えたくないのか、大きくイメージチェンジして冒険したいのか、心境や気分といった心の内をマニュアルなしに毎回新しい感覚で読みとり、わずか5ミリ〜1センチでも、その人が心境や気分に合った今を感じられるようなスタイル作り をしてほしい。
1センチのカットでも遊べる髪を楽しんで、今を感じるスタイルを
健康な髪をキープするには、まずは土壌となる頭皮ケアが外せない。
でも、わたしは、その土壌から生えてくる髪には遊びがあっていいと思うのだ。
頭皮に負担がかからないよう根元に気をつけてカラーやパーマをすれば、個性派スタイルも楽しめるし、自分でセルフケアをして頭皮が健康であればあるほど、髪は自由に遊べる。
わたしたちの頭皮の状態や髪やファッションは、すべて本人のバックグラウンドから作られている。
だから、自分で頭皮ケアをしながらも、体全体を捉えてくれるヘアサロン、美容師を選ぶことが大事だ。
「遊べる髪」を育てていくための頭皮ケアをすることで、健康な髪が育ち、スタイルを自由に楽しめるようになる。
スタイルを作るには、髪を扱う側の美容師が、トータルでファッションを完成させるヘアスタイルを作るために、一人ひとりと毎回その場で向き合っていく必要がある。
切ってもらう側も「声が届くかもしれない」と10歳のときに感じていたわたしのように、「どう遊びたいのか」 心の内にある欲を発する会話をすること。
そうすれば、美容師からもニーズに合わせながら、美容だけでなくアーティストの観点からも「じゃあ、こんな方法がある」「これくらい切れる」とアドバイスが返ってくる。
だから、もっと良くしたいと少し背伸びをして、今の自分の感覚を広げる冒険 をしてみるといい。
いつだって、カットをすれば過去のスタイルは新しく変えられるのだから。
HAIR SALON「VOICE」
再現性やモチの良さは当たり前。
そこにセンスをプラスして、ワンランク上のスタイルを創り上げてくれる外苑前のプライベートサロン。
口コミを見ると、一番多いオーダーが驚くくらい「お任せ」が多い。
ブログやサロン情報はこちらより。
代表: Junya(写真:左)
得意なイメージは、カジュアル・ストリートで、女性らしいエッセンスをいれながらも、大人になりすぎないラフさのあるスタイルに仕上げてくれる。
※わたしは前店舗より10年以上、担当いただいています。
店長: Kyohei(写真:右)
ナチュラルでありながら、こなれ感や抜け感のあるスタイルが得意。
カラーやパーマでニュアンスをいれたりしながら、その人の空気感をより引き立たせて、今までにないイメージに仕上げてくれる。
アシスタント: Shiori(写真:中央)
女性目線の気遣いで、美容情報やサロンでのおすすめ商品など、そのときの頭皮や髪の状態にあわせて、幅広くセルフケアやスタイルの提案をしてくれる。
VOICEでは、今、注目のデンキバリブラシ¥4,320(20分)のメニューもあるよ。他のメニューと併用だと使用する部分により¥3,200~3,500。美容鍼のような効果が望めるので頭や脳や顔の疲労がかなり緩和されて、1回でも効果を実感できます!
竹内 亜希子 Akiko Takeuchi
-植物療法士(フィトセラピスト)
-女性の健康経営推進員
-健康経営エキスパートアドバイザー
幼少より10年間シンガポールで暮らす。
帰国後、会社員として働く中で余白時間を奪われる社会の渦に揉まれ、20代半ばに坐骨神経痛を一年患い、根本改善のためにストレスケアにフォーカス。食生活改善と植物療法を実践し、3ヶ月で完治。
植物療法士として、働く世代の女性の心身のセルフケア、ストレスやホルモンバランスの体の変化をコントロールできる体質づくりを指導。
オリジナルハーブティーブレンド 販売、カフェ等の店舗向けオリジナルハーブティー商品企画・提供、大切な人とのヘルシーな時間を追求するカルチャーメディア『Documentary Gift 』を運営。
現在は、ヘルスケア企業にて、健康保険組合や企業に向けた生活習慣改善プログラムの提供・運営や健康経営推進、中でも女性の健康づくりに注力。
働く女性にとっての「からだにいい生き方」や予防のための「セルフケア」を継続する暮らしのつくり方を伝えている。
趣味:日々の楽しみは、心打つライブと毎日調合するハーブティー、そして家族と食卓を囲う時間。